
更新日 2026-05-10
※記事内の画像は一部生成AIを使用し作成しています
物流コストの内訳が分からず、どこから削減すべきか悩んでいませんか。本記事ではEC事業者・製造業の物流部門・物流代行の方に向けて、5項目の内訳と業界平均、優先すべき削減策を解説します。読み終えるころには、自社のコスト構造を整理し、具体的な改善アクションを判断できるようになります。
目次
- 物流コストとは|まずは全体像を押さえる
- 物流コストの内訳【機能別5項目】
- ①輸送費|物流コストの中で最も比率が高い費目
- ②保管費|倉庫の賃料・維持費にかかる費用
- ③荷役費|入出庫・ピッキング・仕分けにかかる作業費
- ④包装費|梱包資材費と梱包作業の人件費
- ⑤物流管理費|システム運用費と管理スタッフの人件費
- 物流コストのもう2つの分類軸|支払形態別と工程別
- 物流コストの内訳における比率の目安
- 見落としやすい物流コストの「隠れ費用」
- 物流コストの内訳を可視化する4ステップ
- 物流コストが上昇する4つの構造的要因
- 内訳から考える物流コスト削減の優先順位
- EC・通販事業者特有の物流コスト構造
- 梱包工程の自動化という選択肢|専門メーカーの視点から
- 物流コストの内訳を把握した後の次のアクション
- まとめ|物流コストは内訳の正確な把握から削減が始まる
物流コストとは|まずは全体像を押さえる

物流コストは「輸送費だけ」と捉えられがちですが、実際は複数の費目から成り立っています。まずは定義と、なぜ内訳の把握が重要なのかを整理します。
物流コストの定義と範囲
物流コストとは、原材料の調達から製品が顧客の手元に届くまでの一連の物流活動で発生する、すべての費用を指す言葉です。
輸送にかかる運賃だけがイメージされがちですが、実際には倉庫の維持費・在庫の保管料・梱包資材費・物流担当者の人件費・物流管理システムの運用費なども含まれます。供給者から需要者へモノを届けるプロセス全体に発生する費用、と捉えるとイメージがつかみやすくなります。
物流コストを正しく把握すべき3つの理由
内訳の可視化が重要視される理由は、次の3点に集約できます。
- 利益率に直結する固定的な支出であり、削減効果が経常利益にそのまま反映される
- 費目ごとに削減アプローチが異なり、内訳を見誤ると施策が空振りに終わる
- 業界平均との比較によって自社の物流効率を客観的に評価できる
ドンブリ勘定で「物流費が高い」と感じている状態では、有効な対策を打てません。最初に行うべきは、内訳を分解して可視化することです。
物流コストの内訳【機能別5項目】
物流コストの代表的な分類が、機能別に分けた5項目です。日本ロジスティクスシステム協会(JILS)の調査でも採用されている標準的な区分で、自社の費目を当てはめる出発点として活用できます。
まずは5項目の概要を一覧で確認しましょう。
| 費目 | 概要 | 主な内容 |
| ①輸送費 | モノを移動させる費用 | 運賃・燃料費・車両維持費 |
| ②保管費 | 倉庫で在庫を保管する費用 | 倉庫賃料・水道光熱費・保険料 |
| ③荷役費 | 倉庫内の作業費用 | 入出庫・ピッキング・仕分け |
| ④包装費 | 梱包に関わる費用 | 資材費・梱包作業の人件費 |
| ⑤物流管理費 | 物流の管理運営費用 | システム費・管理者人件費 |
①輸送費|物流コストの中で最も比率が高い費目
輸送費は、商品や原材料を移動させるために発生する費用です。トラック・船舶・航空機・鉄道などの運賃、自社車両の燃料費・減価償却費・保険料、ドライバーの人件費が含まれます。
顧客への配送料だけでなく、工場から倉庫への移動や拠点間の横持ち輸送費も対象です。物流コスト全体のうち最も大きな割合を占めることが多く、削減効果が出やすい費目とされています。
②保管費|倉庫の賃料・維持費にかかる費用
保管費は、商品を倉庫で保管するために発生する費用です。外部倉庫を利用する場合の賃借料、自社倉庫の減価償却費・固定資産税・水道光熱費・火災保険料、倉庫設備のリース料などが該当します。
過剰在庫を抱えていると保管スペースが圧迫され、保管費が膨らむ原因となります。在庫の適正化は保管費削減の第一歩です。
③荷役費|入出庫・ピッキング・仕分けにかかる作業費
荷役費は、倉庫内での作業に発生する費用を指します。商品の入出庫、ピッキング、仕分け、検品、流通加工、棚入れ、運搬といった一連の庫内作業の人件費・機械稼働費が中心です。
作業量に応じて変動するため、業務フローの効率化や自動化によってコスト削減を実現しやすい費目といえるでしょう。倉庫管理システム(WMS)の導入や動線改善が代表的な対策です。
④包装費|梱包資材費と梱包作業の人件費
包装費は、商品を出荷可能な状態に梱包するために発生する費用です。段ボール・緩衝材・テープ・封筒などの資材費に加え、梱包作業を担う作業者の人件費が含まれます。
EC・通販事業では出荷件数が多いため、1個あたりの梱包コストが小さくても累積で大きな金額となります。資材の標準化や梱包工程の自動化が削減のカギを握る費目です。
⑤物流管理費|システム運用費と管理スタッフの人件費
物流管理費は、物流業務全体を管理・運営するために発生する費用です。物流管理システム・受発注システム・WMSなどのIT関連費、物流担当者・管理職の人件費、物流に関する事務処理費が該当します。
全体に占める比率は他の費目より小さい傾向にありますが、システムの最適化や業務フロー見直しで改善余地のある領域です。
物流コストのもう2つの分類軸|支払形態別と工程別
機能別の5項目に加え、「誰に支払うか」と「どの工程で発生するか」という2つの軸を組み合わせると、コスト構造を立体的に把握できます。
支払形態別の2分類(社外支払い/社内発生)
お金が「社外に出ていくのか」「社内で発生するのか」によって、削減アプローチは大きく変わります。
| 分類 | 内容 | 削減アプローチ |
| 支払物流費 | 外部の運送会社・倉庫会社への支払い | 取引先の見直し・契約条件の交渉 |
| 自家物流費 | 自社倉庫・自社車両・物流人件費 | 人員配置・業務フローの改善 |
支払物流費は請求書ベースで把握しやすい一方、自家物流費は他の経費に紛れ込みやすく、実態が見えにくい性質があります。両者を分けて把握することで、それぞれに適した打ち手が選べます。
工程別の3分類(調達/社内/販売)
物流プロセスのどの段階で発生したコストなのかを示す分類です。サプライチェーン全体での最適化を考える際に役立ちます。
| 分類 | 発生する段階 | 代表的な費用 |
| 調達物流費 | 原材料を仕入れる段階 | 仕入先からの輸送費・受入作業費 |
| 社内物流費 | 社内で加工・移動する段階 | 拠点間の横持ち輸送・社内保管 |
| 販売物流費 | 顧客へ出荷する段階 | 配送料・梱包費・流通加工費 |
3つの工程のうち、どこに費用が偏っているかを把握すると、ボトルネックが見えてきます。たとえば調達物流費が突出している場合は仕入先の集約や輸送ルートの再設計、販売物流費が大きい場合は配送効率化や梱包の自動化が検討対象となります。
物流コストの内訳における比率の目安

自社の物流コストが適正かを判断する際、業界平均と比較することは有効な手段です。代表的な指標として「売上高物流コスト比率」があります。
売上高物流コスト比率と業種別の傾向
売上高物流コスト比率は、売上高に対して物流コストが占める割合を示す数値で、計算式は「物流コスト÷売上高×100」です。日本ロジスティクスシステム協会の調査によると、近年の全業種平均はおおむね5%前後で推移しており、直近では5.4%台まで上昇する傾向が見られます。
背景には物流事業者からの値上げ要請や燃料費の高騰があり、今後も上昇圧力が続くと予測されています。業種別の傾向は次のとおりです。
| 業種 | 傾向 | コスト構造の特徴 |
| 製造業 | 輸送費の比率が高い | 原材料調達と製品出荷の両面で輸送が発生 |
| 小売業 | 配送費の比率が高い | 店舗配送・店間移動の頻度が多い |
| 卸売業 | 小口配送の比率が高い | 取引先数が多く、納品単位が小さい |
機能別構成比から見る「削減インパクトが大きい費目」
JILSの調査では、機能別構成比のうち輸送費が約57%、保管費が約16%を占めており、両者で全体の7割以上を構成します。荷役費・包装費・物流管理費はそれぞれ1割前後の比率です。
つまり、輸送費と保管費の改善が金額インパクトとしては最大ですが、これらは外部要因(運賃相場・地代)の影響を受けやすい一方、荷役費・包装費は自社の工夫で改善余地が大きい領域でもあります。
見落としやすい物流コストの「隠れ費用」
物流コストを集計する際、表面に出にくい費用を見落としているケースが多く見られます。これらの隠れコストを発見できれば、削減余地を広げられます。
代表的な隠れコストは次の4つです。
- 横持ち輸送費(複数の自社倉庫・工場間で在庫を移動させる輸送費)
- フォークリフトの燃料費・点検費・修理費
- 返品処理・再配達にかかる事務処理費と追加運賃
- 梱包資材の在庫保管スペースとデッドストック化のロス
特に横持ち輸送費は、純粋な顧客向け配送費と切り分けが曖昧になりやすい費用です。拠点配置やSKUの保管場所を見直すことで、横持ち輸送そのものを減らせる場合があります。
EC・通販事業で増加傾向にある返品・再配達コストも、本来発生しなくてもよかった費用です。梱包品質の向上や住所入力フォームの改善など、上流工程の見直しで発生件数自体を減らすアプローチが有効となります。
物流コストの内訳を可視化する4ステップ
内訳の重要性を理解しても、いざ集計しようとすると「どこから手をつければよいか分からない」と詰まることが少なくありません。次の手順に沿って進めると、抜け漏れなく可視化できます。
•【STEP1】機能別5項目で費目を洗い出す(会計データと現場ヒアリングの両方を活用)
•【STEP2】各費目を支払形態別(支払物流費/自家物流費)に振り分ける
•【STEP3】一定期間(月次・四半期・年次)の金額を集計する
•【STEP4】売上高に対する比率を算出し、業界平均と比較する
自社で一からフォーマットを作成するのが難しい場合、日本ロジスティクスシステム協会が公表している物流コスト調査の記入要領を参考にする方法があります。機能別5項目と支払形態別2分類を縦横に組み合わせたマトリクス形式で、抜け漏れなく集計できる構成です。
物流コストが上昇する4つの構造的要因
内訳を可視化したうえで対策を検討する際、なぜ物流コストが上昇傾向にあるのかという背景を押さえておくと、施策の優先順位を判断しやすくなります。主な要因は次の4つです。
| 要因 | 内容と影響 |
| 燃料費の高騰 | 原油価格と為替の影響で軽油・ガソリンが上昇。輸送費だけでなく倉庫の電力コストにも波及 |
| ドライバー不足と人件費上昇 | 少子高齢化と労働環境の課題で人材確保が困難。賃金引き上げが運賃に転嫁される |
| 小ロット・多頻度配送 | EC普及による小口配送ニーズの拡大で、トラック1台あたりの積載効率が低下 |
| 物流2024年問題 | ドライバーの労働時間上限規制で輸送能力が低下。運賃改定圧力が継続 |
内訳から考える物流コスト削減の優先順位
内訳を可視化し、上昇要因を理解したら、次に決めるべきは「どの費目から手をつけるか」です。やみくもに着手しても効果は限定的なので、判断基準を持っておくことが重要となります。
削減難易度と効果で見る費目の優先順位
各費目を「削減効果の大きさ」と「削減実現の難易度」の2軸でマッピングすると、着手すべき順序が見えてきます。
| 費目 | 削減効果 | 実現難易度 | 代表的な打ち手 |
| 輸送費 | 大 | 高 | 共同配送・拠点集約・モーダルシフト |
| 保管費 | 中〜大 | 中 | 在庫適正化・倉庫レイアウト改善 |
| 荷役費 | 中 | 中 | WMS導入・ピッキング動線改善 |
| 包装費 | 中 | 低〜中 | 梱包工程の自動化・資材標準化 |
| 物流管理費 | 小〜中 | 低 | システム最適化・業務委託 |
自家物流費と支払物流費、どちらから着手すべきか
自家物流費は社内のオペレーション改善で削減できるため、外部交渉が不要な分すぐに着手しやすい領域です。人員配置の最適化、業務フローの見直し、設備の稼働率向上などが具体的な施策となります。
一方、支払物流費の削減は取引先との交渉や契約条件の見直しが中心です。複数業者からの相見積もり、運賃テーブルの再設計、サービスレベルと価格のバランス再検討などが検討すべきポイントといえるでしょう。
EC・通販事業者特有の物流コスト構造
EC・通販事業者の物流コスト構造は、製造業や卸売業とは異なる特徴を持ちます。自社の業態に近い傾向を理解することで、より的確な打ち手が見えてきます。
小ロット多頻度出荷で「包装費」「荷役費」が膨らむ理由
EC・通販事業では、1件あたりの出荷個数が少なく、1日あたりの出荷件数が膨大になる傾向があります。1件ごとに梱包作業とピッキング作業が発生するため、包装費と荷役費が他業態よりも高い比率を占めやすくなります。
出荷件数が伸びても、人手による梱包・ピッキングのままでは作業者を増員するしかなく、人件費が際限なく膨らむ構造です。
出荷量フェーズ別の注力すべき費目
| 月間出荷量 | フェーズ | 注力すべき領域 |
| 1,000件未満 | 立ち上げ期 | 資材費の最適化・手作業の標準化 |
| 1,000〜10,000件 | 成長期 | WMS導入・部分的な機械化の検討 |
| 10,000件以上 | 拡大期 | 本格的な自動化(自動梱包ラインなど) |
通販事業者の場合、配送料は宅配キャリアとの契約条件に依存する部分が大きく、自社単独での削減には限界があります。一方、社内で発生する包装費と荷役費は、設備投資と業務改善の組み合わせで大きな改善が期待できる領域です。
梱包工程の自動化という選択肢|専門メーカーの視点から

物流コストの内訳を分析すると、特にEC・通販事業者にとって梱包工程は改善余地の大きい領域として浮かび上がります。1978年から梱包・包装機器に携わる専門メーカーの視点から、手作業に依存し続けるリスクと、自動化で得られる効果を整理します。
手作業梱包に潜む4つの隠れコスト
梱包現場で人手作業を続けている場合、見えにくい次のような隠れコストが発生しています。
- 作業者の習熟度による梱包品質のバラつきと、配送中の破損リスク
- 繁忙期の人員確保コスト(採用費・教育費・派遣費)
- 梱包不備によるクレーム対応の事務処理工数
- 緩衝材の使いすぎや段ボールサイズの過大化による資材ロス
これらは個別には小さく見えても、年間で集計すると無視できない金額になります。実際の現場では、人件費の総額よりも資材ロスのほうが大きな割合を占めていたケースも少なくありません。
自動梱包ライン導入で得られる効果
梱包工程に自動梱包ラインを導入すると、1時間あたりの処理能力が手作業の数倍に向上します。同じ出荷量を半分以下の人員でこなせるケースもあり、人件費削減と出荷キャパシティ拡大の両方が同時に実現できるのです。
また、機械による梱包は仕上がりが均一であり、梱包品質が安定することで配送中の破損や顧客クレームの低減にもつながります。資材も商品サイズに合わせて自動で最適化されるため、過剰梱包による資材ロスも抑えられる傾向があります。
自動梱包ラインの導入を検討するタイミング
ダイワハイテックスがこれまで全国の通販事業者・3PL事業者に自動梱包ラインを導入してきた経験から、次の条件が複数当てはまる場合に検討する価値が高いといえます。
- 月間出荷件数が一定規模以上(おおむね数千件〜数万件)
- 商品サイズ・形状にある程度の規則性がある
- 繁忙期と閑散期の出荷量変動が大きく、人員確保に苦労している
- 梱包品質を均一化したい、または資材コストを下げたい
配送形態別の自動梱包ラインラインアップ
ダイワハイテックスでは、配送形態や商品特性に応じて選べる3種類の自動梱包ラインを提供しています。



導入実績や具体的な削減効果については、事例集にて詳しく紹介しています。自社の出荷フローと近いケースを参考にすることで、導入後のイメージがつかみやすくなります。
物流コストの内訳を把握した後の次のアクション
内訳の可視化と優先順位の設定が完了したら、いよいよ実行フェーズです。最後に、改善を進める際の判断軸とモニタリング方法を整理します。
自社改善か外部委託か、判断のポイント
各費目について、自社で改善を進めるか、外部委託(アウトソーシング)に切り替えるかを判断します。判断軸となるのは次の3点です。
- 社内に改善を主導できるリソース(人材・知見)があるか
- 物流業務が事業のコア競争力に直結するか、それとも支援機能か
- 改善に必要な投資額と、回収期間が経営判断として現実的か
物流が事業のコア競争力ではない場合、専門業者へ委託することで担当者の工数を削減し、本業に集中できる環境を整えられます。
改善効果を継続的にモニタリングする指標
一度改善して終わりではなく、効果を継続的にモニタリングする仕組みが必要です。次の3指標を月次・四半期で定点観測することで、施策の効果検証と新たな課題の発見ができます。
- 売上高物流コスト比率(全体の物流効率を示す総合指標)
- 費目別構成比(どの費目に偏りが生じているか)
- 1出荷あたりの物流コスト(出荷効率の変化を捉える)
まとめ|物流コストは内訳の正確な把握から削減が始まる
物流コストの内訳は、機能別の5項目(輸送費・保管費・荷役費・包装費・物流管理費)を基本に、支払形態別と工程別の視点を加えることで、構造を立体的に把握できます。漠然と「物流費が高い」と感じている状態から、「どの費目に課題があるのか」を具体的に特定できる段階へ進めることが、削減への第一歩です。
特にEC・通販事業者にとって、包装費と荷役費は内訳の中でも改善余地の大きい領域です。出荷量の増加に応じて梱包工程の自動化を検討することは、人件費の抑制と出荷キャパシティの拡大を同時に実現する有効な選択肢となります。
自社の物流コスト削減について、梱包工程の自動化からアプローチしたいとお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。出荷状況をヒアリングのうえ、最適な自動梱包ラインを提案いたします。









