
更新日 2026-07-30
※記事内の画像は一部生成AIを使用し作成しています
シュリンク包装機の種類・選び方・価格相場を、通販物流の現場を支援してきた立場から解説。1日の出荷量と商品特性から適したタイプを判断する方法、導入前のサンプルテストの進め方、シワなど不具合の原因と対策まで網羅しています。
シュリンク包装機は種類が多く、自社に合う一台を見極めるのは簡単ではありません。この記事では、EC運営者や物流担当者に向けて選び方と価格の考え方、導入の進め方を整理しました。自社の出荷量と商品に合うタイプの見極め方が分かります。
【この記事の著者】

ダイワハイテックス編集部
ダイワハイテックス編集部では、物流・倉庫業務、梱包・包装に関する実務情報を発信しています。国内150ライン以上への導入実績と、社内エンジニアによる設計・保守の知見をもとに、現場の作業効率化、省人化、コスト削減につながる情報を分かりやすくお届けします。
目次
- シュリンク包装機とは?基本の仕組みと役割
- シュリンク包装機でできる5つのこと
- シュリンク包装機の種類【3つの分類軸で整理】
- シュリンク包装機の選び方【5つの判断軸】
- シュリンク包装機メーカーの選び方と比較の視点
- シュリンク包装機の導入費用の目安
- シュリンク包装機は買うだけが正解か|新品・中古・レンタル・外注の比較
- シュリンクフィルムの種類と選び方
- シュリンク包装機を導入するメリット・デメリット
- シュリンク包装のトラブル症状別・原因と対策
- 【現場事例】シュリンク包装機で解決できた3つの課題
- シュリンク包装機の導入を成功させる進め方
- 通販物流で伸びる「シュリンク包装ライン化」という選択肢
- シュリンク包装機に関するよくある質問
- Q1 家庭用電源(100V)でも使えますか?
- Q2 工業用ドライヤーとの違いは何ですか?
- Q3 食品にも使えますか?
- Q4 メンテナンスの頻度はどのくらいですか?
- Q5 小ロットやスポット用途でも導入する価値はありますか?
- Q6 中古のシュリンク包装機を選んでも問題ありませんか?
- Q7 シュリンク包装とストレッチ包装は何が違いますか?
- Q8 仕上がりにシワやツノが出ます。何を確認すればよいですか?
- Q9 書籍やコミックの包装にはどのタイプが適していますか?
- Q10 導入までにどのような準備が必要ですか?
- まとめ|出荷量と商品特性に合った一台を選ぼう
シュリンク包装機とは?基本の仕組みと役割

はじめに、シュリンク包装機の基本的な仕組みと、よく混同される用語との違いを整理しておきましょう。この前提を押さえておくと、後の章で扱う種類や選び方の理解が一気に進みます。
シュリンク包装機の定義と仕組み
シュリンク包装機とは、熱で収縮する特殊なフィルムを商品に密着させるための機械です。語源は英語の「shrink(縮む)」で、フィルムをかぶせた商品に熱を加えると、フィルムが縮んで商品にぴったり沿う仕上がりになります。
機械の構造は、大きく次の2つのパーツで構成されています。
- シール部は、フィルムの端を溶着して切断する工程を担います。
- シュリンクトンネルは、熱を加えてフィルムを収縮させる工程を担います。
ペットボトルのラベル、書籍、CD、化粧品、医薬品、日用品など、私たちの身の回りの多くの商品にシュリンク包装は活用されています。
類似用語との違いを整理
検討時に混乱を招きやすいのが、類似する機械の呼称です。下の表で主要な用語の違いを整理しました。
| 用語 | 意味 | 主な工程 |
| 包装機 | 商品をフィルムや袋、箱などに封入する機械 | 包装 |
| シュリンク包装機 | 熱収縮フィルムで商品を密着包装する機械(包装機の一種) | 包装 |
| 梱包機・結束機 | 包装後の荷物をPPバンドなどで結束する機械 | 結束 |
| 自動梱包ライン | 商品の投入から封入、封かん、ラベル貼付までを一貫自動化する設備 | 通販物流の梱包 |
シュリンク包装機は「包装」の工程で使う機械であり、「結束」を担う梱包機とは別物です。なお、自動梱包ラインは封入から封かん、ラベル貼付までを担う設備であり、バンドによる結束工程は含みません。包装機全体の分類については、包装機とは?種類・選び方から導入メリットまでで詳しく整理しています。
また、シュリンク包装機を検討される方から、ほかの包装方式との違いについてもよく質問をいただきます。混同しやすい3つを整理しておきましょう。
| 包装方式 | フィルムの扱い方 | 主な用途 | 関連記事 |
| シュリンク包装 | 熱で収縮させて商品に密着させる | 商品単位の保護、美観、改ざん防止 | 本記事 |
| ストレッチ包装 | 伸縮フィルムを引き伸ばして巻き付ける | パレット単位の荷崩れ防止 | ストレッチ包装機の解説 |
| 真空包装 | 内部の空気を抜いて密封する | 食品の鮮度保持、酸化防止 | 真空梱包機の解説 |
もっとも混同されやすいのがストレッチ包装です。シュリンク包装は熱で縮めて密着させ、ストレッチ包装は伸ばして巻き付けるという点が決定的に違います。前者は商品1点ごとの保護や見栄えを目的とし、後者はパレットに積んだ荷物をまとめて固定する用途が中心となります。
言葉そのものの使い分けについては、梱包と包装の違いとは?JIS規格の定義から使い分けまでで解説しています。シュリンクを梱包工程の観点から整理した記事は、シュリンク梱包とは?方式・機械・コストの選び方にまとめました。
シュリンク包装機でできる5つのこと
シュリンク包装機は単に包むだけの機械ではなく、現場に応じて複数の役割を担います。代表的な用途は次の5つです。
- 商品の保護として、汚れや傷、異物の混入を防ぎ、耐寒性や耐水性を高めます。
- 改ざんや開封の防止にも役立ちます。破れた痕跡が残るため、未開封であることの証明になります。
- 輸送時の商品固定では、ダンボールパッドと組み合わせることで荷崩れを防げます。
- 集積包装により、複数の商品をまとめて1つのパッケージにできます。
- デザイン性や販促力の向上も可能です。印刷フィルムを使えば商品ラベルとして機能します。
特に通販物流の現場では、輸送時の商品固定と集積包装の用途が伸びています。緩衝材の使用量を減らせるため資材費の削減につながり、開封時の見栄えも向上するからです。緩衝材そのものの見直しについては、緩衝材を安く調達する方法でも解説しています。
これらの用途によって実際にどれだけの効果が出るのかは、後半の導入メリットと投資回収の章で詳しく扱います。
シュリンク包装機の種類【3つの分類軸で整理】
シュリンク包装機は、分類軸によって呼び方や特徴が変わります。ここでは加熱方式、設置形態、自動化レベルの3軸で整理します。自社に必要なタイプを絞り込むフレームとして活用してください。
加熱方式による分類
シュリンクトンネル内でフィルムを収縮させる加熱方式は、主に3種類あります。それぞれ得意と不得意がはっきり分かれるため、メリットとデメリットを対で押さえておくと選定を誤りにくくなります。
| 方式 | メリット | デメリット | 向いている現場 |
| 蒸気式 | 熱の伝わり方が穏やかで、仕上がりが美しくなります。透明感も出やすい方式です | 蒸気を発生させる設備が必要になり、導入と維持のハードルが上がります | 高品質な仕上がりが求められる食品や医薬品 |
| 熱風式 | 機械がコンパクトで、導入コストを抑えやすい汎用型です | 一方向から熱風を当てるため、形状によっては加熱ムラが出ます | 汎用用途やコストを抑えたい現場 |
| 熱旋風式 | 熱風を旋回させて全方向から均一に加熱でき、ムラが出にくくなります | 熱風式に比べて機構が複雑になり、価格帯が上がります | 異形容器や、仕上がりのムラを抑えたい商品 |
このほか、機械を使わずに工業用ドライヤー(ヒートガン)で手作業で収縮させる方法もあります。導入コストは最小限で複雑な形状にも対応できる反面、作業者が手で熱を当てるため仕上がりにムラが出やすく、処理数も伸びません。スポット的な用途に限定するのが現実的でしょう。
加熱条件の詰め方と考え方
どの温度で何秒当てればよいかは、機種を選ぶ段階から気になるポイントかと思います。ただし最適な条件は、フィルムの材質と厚み、商品の形状、トンネルの長さの組み合わせで変わるため、一律の正解はありません。
まず押さえておきたいのが、加熱時間はトンネルの全長とコンベア速度で決まるという関係です。トンネル長を速度で割れば、商品が熱を受ける時間を算出できます。同じ温度設定でも、コンベアを速くすれば加熱時間は短くなります。
この関係を理解したうえで、仕上がりから逆算して調整の方向を決めていきます。
| 症状 | 主な原因 | 調整の方向 |
| シワやたるみが残る(収縮不足) | 熱量が足りていない | 温度を上げるか、コンベア速度を落とします |
| 白化や変形、穴あきが出る | 熱量が過剰になっている | 温度を下げるか、コンベア速度を上げます |
| 部分的にだけシワが残る | 熱の当たり方が偏っている | 風量バランスを調整するか、加熱方式を見直します |
もう一点、見落とされがちなのがフィルムの収縮具合だけを見て通過時間を決めてしまう失敗です。フィルムがきれいに縮む条件が、必ずしも中身にとって安全とは限りません。
特にチョコレートなど熱に弱い商品では、包装後の外観だけでなく中身の状態まで確認する必要があります。フィルムの材質を変えた場合も収縮特性が変わるため、そのつど条件を出し直してください。
設置形態による分類
設置スペースや出荷量に応じて、次の4タイプから選びます。
- 卓上型は作業台に載る小型タイプで、スポット的な包装作業に向いています。
- トンネル型はシール部とトンネルが分離した汎用タイプです。
- 一体型はシール部とトンネルが1台に収まったコンパクトタイプになります。
- ライン組込型は、自動梱包ラインや生産ラインに組み込む大型設備です。
自動化レベルによる分類
1日の包装数量に応じて、適した自動化レベルが決まります。
- 手動タイプは、フィルムの装着からトンネル投入まで作業者が行います。小ロットや多品種の現場に向いています。
- 半自動タイプでは、シールやフィルムの送り出しなど一部の工程が機械化されます。生産性と柔軟性のバランス型です。
- 自動タイプは、フィルム装着からトンネル通過までをすべて機械が担います。大量処理に適しています。
包装形態別の対応機
商品のどこを覆うかによって、対応する機械のタイプが変わります。
| 包装形態 | 覆う範囲 | 主な用途 |
| L型シュリンク | 商品全体 | 箱物、書籍、文具など直方体の商品 |
| ピローシュリンク | 商品全体 | カップ麺、菓子パンなど円筒形や長方形の商品 |
| ラベルシュリンク | ボトル側面 | 飲料ボトルや弁当容器の側面ラベル |
| キャップシュリンク | 容器キャップ部 | 調味料や医薬品の開封防止 |
| Rシュリンク | 底面以外 | シャンプーなど曲面の多い容器 |
シュリンク包装機の選び方【5つの判断軸】

種類を理解したら、次は自社に合う一台を選ぶ段階に入ります。これまで多くの現場の包装機選定を支援してきた経験から、判断に外せない軸をお伝えします。次の5つの順番でチェックすると、候補を効率よく絞り込めます。
- 1日の包装数量で絞る
- 商品の形状とサイズで絞る
- 設置スペースと電源環境で絞る
- 仕上がり品質への要求レベルで絞る
- 予算と投資回収期間で決める
判断軸1 1日の包装数量
もっとも重要な判断軸が、1日あたりの包装数量です。数量を過小評価すると生産性不足に、過大評価すると過剰投資につながります。現状だけでなく将来の成長も見越して判断しましょう。
当社に相談をいただく案件を振り返ると、包装数量と提案するタイプにはおおよそ次のような対応関係があります。
| 1日の包装数量 | 適したタイプ | 主な導入シーン |
| 50個程度まで | 卓上型、手動機、工業用ドライヤー | スポット用途や小規模事業者 |
| 50〜300個程度 | 卓上トンネル型、小型トンネル型 | 小〜中規模EC、3PLの手直し用 |
| 300〜1,000個程度 | 半自動機、自動機 | 中規模通販、メーカー物流部門 |
| 1,000個以上 | 自動梱包ライン組込型 | 大規模EC、大手通販物流 |
この区分はあくまで当社の支援実績から見た傾向であり、商品の形状や1個あたりの作業時間によって前後します。特に、大きさの異なる商品を多品種扱う現場では、同じ数量でも1ランク上の自動化レベルが必要になるケースもあります。
判断軸2 商品の形状・サイズ
商品の寸法(縦×横×高さ)と形状によって、適合する機械は変わります。箱物はL型シュリンク対応機、円筒形や長方形はピローシュリンク機、ボトル類はラベルシュリンク機というように、形態と機械を一致させる必要があります。
特に見落とされがちなのが商品の高さです。シール部やトンネルの通過可能な高さに商品が収まるか、事前のスペック確認が欠かせません。
判断軸3 設置スペースと電源環境
シュリンク包装機は機種によって電源要件が異なります。下の表で要件を整理しました。
| 電源 | 対応する機械 | 導入のしやすさ |
| 100V(家庭用) | 小型卓上機、コンパクトトンネル機 | 電気工事が不要ですぐに導入できます |
| 200V(動力) | 中型以上のトンネル機、自動機 | 電源容量と電気工事の確認が必要になります |
導入後にもっとも多い誤算が、機械本体のカタログ寸法だけでスペースを確保してしまい、運用を始めると作業が回らないというケースです。シュリンク包装機の設置には、本体寸法に加えて次のスペースが必要になります。
| 必要なスペース | 用途 |
| 投入側スペース | 商品とフィルムをセットする作業領域を確保します |
| 排出側スペース | トンネルを通過した商品を受け、冷却する領域として使います |
| 側面クリアランス | メンテナンスや清掃の際にアクセスするために空けます |
| 排熱方向の離隔 | 壁や棚、熱に弱い資材から距離を取ります |
| 作業者の動線幅 | 前工程や後工程との行き来を妨げない幅を確保します |
必要な寸法は機種の大きさと商品サイズによって変わるため、選定した機種の図面をもとに実寸で確認するのが確実です。当社では機種ごとの必要スペースを図面でお示ししていますので、レイアウト検討の段階から相談してください。
排出側のスペースは特に軽視されがちです。 トンネルを出た直後のフィルムはまだ完全に安定していないため、十分な冷却距離を取らずに次の工程へ送ると、後から形が歪む原因になります。
判断軸4 仕上がり品質への要求レベル
ECや通販での販売商品、ギフト用途など、見栄えが売上に直結する現場では、仕上がり品質の要求レベルが上がります。シワやツノ(フィルムの残り)を最小限に抑えるには、加熱方式や温度制御の精度が鍵となります。
熱旋風式や2WAY加熱(ヒーターを2系統で制御する方式)を採用した機種は仕上がりが美しく、化粧品や高単価商品の包装に向いています。逆に、内部パーツの固定など見えない箇所の包装であれば、コスト重視で仕様を抑える選択も合理的です。
判断軸5 予算と投資回収期間
本体価格だけを見るのではなく、削減できる人件費や資材費、破損率とあわせて総合的な投資回収シミュレーションを行います。
たとえば、ヒートガンによる手作業から卓上型のシュリンク包装機に切り替えるだけでも、1人あたりの作業時間は短縮されます。月あたりの作業時間削減量に人件費単価を掛けて年間削減額を算出し、本体価格と比較すれば回収期間の目安が見えてきます。
具体的な計算手順は、後述の投資回収の章で試算例とあわせて解説します。省人化投資の判断基準そのものについては、省人化投資とは?物流現場の実例で学ぶ判断基準とROIの考え方もあわせて参考にしてください。
シュリンク包装機メーカーの選び方と比較の視点
機種の要件が固まったら、次はどのメーカーから導入するかの検討に移ります。ここで見落とされがちなのが、機械のスペックそのものより、導入後に効いてくる要素のほうが多いという点です。
長く稼働させる設備だからこそ、次の観点で比較することをおすすめします。
| 比較の観点 | なぜ重要か | 確認したい質問 |
| 設計と保守の体制 | 部品供給や仕様変更への対応速度が変わります。社内にエンジニアを持つメーカーは、現場の要件に合わせた調整がしやすくなります | 設計と保守は自社で行っているか。修理依頼から訪問までの目安はどのくらいか |
| サンプルテストの可否 | カタログスペックでは分からない仕上がりの差を、導入前に潰せます | 実際の商品でテストしてもらえるか。費用と期間はどうなるか |
| デモ機貸出の可否 | 作業者の習熟度による処理数の差を、事前に把握できます | 現場に持ち込んで試せるか。貸出期間はどのくらいか |
| 消耗部材の入手性 | ヒーター線やテフロンシートが入手できないと、稼働そのものが止まります | 消耗品の供給体制と納期はどうか。汎用品で代替できるか |
| ライン化への拡張性 | 出荷量が伸びたとき、単体機を無駄にせず段階的に拡張できるかが変わります | 将来のライン組込に対応しているか |
| 導入後のサポート | 立ち上げ期の操作指導の有無で、軌道に乗るまでの期間が変わります | オペレーター教育の対応範囲はどこまでか |
特にサンプルテストとデモ機貸出に対応しているかどうかは、最初の問い合わせ時点で確認しておく価値があります。この2つに対応できるメーカーは、自社の機械が実際の商品にどう作用するかを把握したうえで提案しているためです。
メーカー比較のより一般的な視点については、包装機メーカーの選び方|失敗しない比較7ポイントと、梱包機メーカーの選び方で詳しく解説しています。
シュリンク包装機の導入費用の目安
シュリンク包装機の価格は、タイプや仕様によって大きな幅があります。価格を左右する要素と、見落とされやすいランニングコストをあわせて整理します。
価格を左右する5つの要素
シュリンク包装機は、多くのメーカーが仕様に応じた個別見積もりとしているため、相場が見えにくい設備です。まずは何によって価格が動くのかを理解しておくと、見積もりを比較する際の判断がしやすくなります。
| 要素 | 価格への影響 |
| 自動化レベル | もっとも影響が大きい要素です。手動、半自動、自動、ライン組込の順に上がります |
| 処理能力 | 1時間あたりの処理件数が増えるほど、搬送機構や加熱能力が大きくなり価格も上がります |
| 対応サイズ | シール部やトンネルの通過寸法が大きいほど機械本体も大型になります |
| 加熱方式と制御精度 | 均一加熱や多系統の温度制御に対応した機種は、仕上がりが安定する一方で価格帯が上がります |
| 周辺設備との連携 | コンベアやラベル貼付機などと連動させる場合、制御の作り込みが必要になります |
大まかな傾向として、卓上型の小型機がもっとも手が届きやすく、半自動機、自動機、ライン組込型の順に投資規模が大きくなります。自社の出荷量から必要な自動化レベルを先に絞り込んでおけば、検討する価格帯も自然に定まります。
見積もりで確認したい費用項目
本体価格には含まれないことが多い費用があります。見積もりを比較する際は、次の項目が含まれているかを必ず確認してください。
- 機械の運搬費と搬入費
- 設置工事費。200V機の場合は電気工事も必要になります
- 立ち上げ時の試運転と操作指導
- 初回のフィルムや消耗品の購入費
これらが含まれているかどうかで、見積もり総額は大きく変わります。同じ条件で比較できるよう、内訳の粒度をそろえて提出してもらうとよいでしょう。
本体以外にかかるランニングコスト
機械を導入した後も、運用にはさまざまなコストがかかります。これらを総保有コスト(TCO)として試算しておくと、本体価格だけでは見えない違いが浮かび上がります。
- シュリンクフィルム代は、商品サイズや材質、厚みによって単価が変動します。1件あたりのコストは、実際の包装対象でテストして必要フィルム量を測ったうえで算出するのが確実です。
- 消耗部材費として、シール部のヒーター線やテフロンシートの交換費用がかかります。
- 電気代は、加熱機構の稼働時間とヒーター容量に比例します。
- メンテナンス費には、定期点検や保守契約、部品交換の費用が含まれます。
現場からの相談で少なくないのが、初期費用を抑えて導入したものの、運用コストが想定を超えてしまったというケースです。
典型的なのは、次の順に問題が連鎖していくパターンになります。
| 段階 | 起きること |
| 1 | 加熱の均一性が低い機種を選ぶ |
| 2 | シワやツノなどの不良が一定の割合で発生する |
| 3 | 不良分のフィルムが無駄になり、資材ロスが増える |
| 4 | 再包装のための人手と時間が発生し、人件費がかさむ |
| 5 | 結果として、1件あたりの包装コストが当初想定を上回る |
不良率がわずかに違うだけでも、年間の出荷件数を掛け合わせると無視できない差になります。本体価格の差額が何ヶ月で運用コストの差に飲み込まれるかという視点で比較すると、判断を誤りにくくなるでしょう。
長期的には5年間のTCOで比較することをおすすめします。物流コスト全体の構造については、物流コストの内訳を5項目で徹底解説も参考になります。
投資回収期間の試算方法
機械を入れると実際どれくらい変わるのか、という質問は非常に多くいただきます。効果は商品の形状や現場の体制によって変わるため一律には言えませんが、計算の手順そのものは共通しています。
| ステップ | 計算する内容 |
| 1 | 現状の年間包装工数を算出します。1日の包装件数に1件あたりの作業時間と稼働日数を掛けます |
| 2 | 導入後の年間包装工数を、同じ計算式に導入後の作業時間を代入して算出します |
| 3 | 削減できた工数に人件費単価を掛けて、年間の人件費削減額を出します |
| 4 | 不良率の改善分にフィルム単価と年間件数を掛けて、資材ロスの削減額を加えます |
| 5 | 本体価格と設置費用の合計を年間削減額で割り、回収期間の目安を求めます |
以下は計算方法を示すための試算例です。実データではなく、仮に次の条件と仮定した場合の数値である点に注意してください。実際の数値は商品形状や現場体制によって大きく変わります。
仮に、1日の包装件数を200件、年間稼働日数を250日、人件費単価を時給1,200円と仮定します。手作業での包装に1件あたり30秒かかっていたものが、機械の導入によって10秒に短縮できたと仮定した場合、次のように計算できます。
▼ 試算例(仮定値による計算モデル)
【前提(すべて仮定値)】
1日の包装件数 200件
年間稼働日数 250日
人件費単価 1,200円/時
導入前の作業時間 30秒/件
導入後の作業時間 10秒/件
【計算】
年間包装件数 200件 × 250日 = 50,000件
削減時間 (30秒 - 10秒) × 50,000件 = 1,000,000秒 ≒ 278時間
年間削減額 278時間 × 1,200円 ≒ 333,600円
回収期間 本体価格 ÷ 333,600円
この例では人件費のみを計算しています。実際には資材ロスの削減分や、不良品の再包装にかかっていた時間も削減額に加わるため、回収期間はさらに短くなる可能性があります。
自社の数値を当てはめる際は、まず現状の1件あたりの作業時間を実際にストップウォッチで計測するところから始めてください。ここが曖昧なままだと、試算全体の精度が上がりません。
梱包工程全体の効率化については、梱包作業の効率化|人件費1/2を実現した9つの改善アイデアと進め方でも実例を紹介しています。
シュリンク包装機は買うだけが正解か|新品・中古・レンタル・外注の比較
導入を検討する際、選択肢は新品購入だけではありません。それぞれに向き不向きがあるため、自社の状況に照らして比較しておくと、過剰投資も機会損失も避けられます。
| 選択肢 | 初期費用 | 向いているケース | 注意点 |
| 新品購入 | 高い | 継続的に一定量を包装し、長期稼働が前提となる場合 | 導入までのリードタイムが必要になります |
| 中古購入 | 低い | 予算が限られる場合や、同型機の運用経験がある場合 | 保証範囲が限定的です。消耗部材の入手性も確認が必要になります |
| レンタル | 最小 | 繁忙期のみ使う場合や、導入前の検証、スポット案件 | 長期利用では割高になります |
| 包装の外注 | 設備投資は不要 | 出荷量が読めない場合や、自社に設置スペースがない場合 | 1件あたりの単価が高くなり、リードタイムも延びます |
中古機を検討する際に確認したいこと
中古は初期費用を大きく抑えられる選択肢ですが、購入前に確認すべき点があります。
- 消耗部材が現在も入手できるかを確認します。ヒーター線やテフロンシートの供給が終了していると、稼働を維持できなくなります。
- 保証の有無と範囲も重要です。保証期間が短いか、まったく付かない場合もあります。
- メンテナンス履歴から、前の所有者がどのように使っていたかを把握します。
- 修理対応先の確保も欠かせません。メーカーが対応してくれるのか、第三者に依頼が必要かで運用リスクが変わります。
判断のポイントは、梱包機の中古はあり?失敗しない選び方とメーカーが教える注意点で詳しく解説しています。考え方はシュリンク包装機にもそのまま当てはまります。
外注という選択肢
出荷量の変動が大きい場合や、自社に設置スペースがない場合は、包装工程を外部に委託する方法もあります。設備投資が不要な反面、1件あたりの単価は自社運用より高くなるのが一般的です。
自社導入と外注のどちらが有利かは、次の考え方で整理できます。外注単価と自社運用時の1件あたりコストの差に年間件数を掛けたものが、年間の削減額にあたります。この削減額に想定稼働年数を掛けた金額が設備投資額を上回れば、自社導入が有利という判断になります。
物流業務全体の外注については、物流アウトソーシングとは?費用・選び方と自動化との比較で整理しました。
シュリンクフィルムの種類と選び方
シュリンク包装の仕上がりは、機械と同じくらいフィルムの選定に左右されます。主要なフィルムの特性と、商品別の選定基準を見ていきましょう。
主要なシュリンクフィルム5種類
| フィルム | 長所 | 短所 |
| POF | ツノやシワが出にくく美しい仕上がりになります。低温収縮で強度も高めです | 価格がやや高めになります |
| PVC | コシが強く、低温で収縮します。電気絶縁性にも優れています | 自然収縮を起こしやすく、空間シール面が破れやすい面があります |
| PE | 接着強度が高く、弾力性と寸法安定性に優れています | 透明度が低く、収縮に時間がかかります |
| PET | 接着強度と透明度がともに高い素材です | 開封しにくく、加工も難しい面があります |
| PP | 柔らかい仕上がりで印刷加工しやすく、耐寒性と防熱性を備えています | 自然収縮を起こしやすい傾向があります |
商品特性別のフィルム選定早見表
実際の現場で相談が多い商品カテゴリ別に、推奨フィルムと理由をまとめました。
| 商品カテゴリ | 重視ポイント | 推奨フィルム | 選定理由 |
| 食品、医薬品 | 衛生と仕上がり | POF | ツノやシワが出にくいためです |
| 化粧品 | 高級感と透明度 | PET/POF | 透明度が高く商品価値を損ないません |
| 書籍、CD | コストと強度 | PP/PE | 耐久性と価格のバランスが取れています |
| 重量物、集積包装 | 強度と固定力 | PE | 接着強度と弾力性が高いためです |
| 異形、曲面容器 | 密着性 | POF/PVC | 低温収縮で形状に沿いやすくなります |
食品を扱う現場でのフィルム選定については、食品包装機の種類と選び方|失敗しない導入のポイントもあわせて参考にしてください。
環境配慮型フィルムへの移行をどう考えるか
近年は包装材の環境配慮に対する要請が高まっており、フィルムの選定でもこの観点が加わるようになりました。主な方向性は3つあります。
| アプローチ | 内容 | 現場での留意点 |
| 薄膜化による減容 | フィルムの厚みを落として使用樹脂量を減らします | 薄くするほど破れやすくなります。商品の角の処理や搬送時のテンション調整が必要です |
| モノマテリアル化 | 複数素材の組み合わせをやめ、単一素材に統一してリサイクル性を高めます | 従来品と収縮特性が異なる場合があり、設定の見直しが求められます |
| 再生材の活用 | 使用済み樹脂を原料に含むフィルムを採用します | ロットによって特性がばらつく可能性に注意が必要です |
いずれの場合も共通するのは、フィルムを変えると最適な加熱条件も変わるという点です。素材を切り替える際は、既存の設定のまま運用せず、あらためてサンプルテストを行ってください。
環境配慮型フィルムは、コストや調達の安定性で従来品と差があることも少なくありません。取引先からの要請や自社の方針と、現場の運用負荷を天秤にかけながら段階的に進めるのが現実的でしょう。
なお、プラスチック資源の循環に関しては関連する法制度が整備されており、事業者に対する取り組みが求められています。制度の内容は見直されることがあるため、詳細は環境省や経済産業省などの公式サイトで最新情報を確認してください。
シュリンク包装機を導入するメリット・デメリット
導入判断の前に、メリットとデメリットを整理しておきます。両面を理解したうえで判断することで、導入後のミスマッチを防げます。
導入メリット
- 作業効率が向上します。 手作業と比べて単位時間あたりの包装件数が増えるため、同じ人員でより多くの出荷に対応できます。
- 仕上がりが均一になります。 人によるばらつきが減り、商品価値が安定します。
- 資材費と人件費を削減できます。 緩衝材の使用量を減らし、人員の配置転換も可能になります。
- 品質管理とブランド保護につながります。 改ざん防止と異物混入防止を同時に実現できます。
デメリットと注意点
- 初期投資が発生します。 機種によって価格帯に大きな幅があるため、事前の試算が欠かせません。
- 設置スペースの確保が必要です。 前後のクリアランスや熱の放出も考慮した実効スペースを見積もりましょう。
- 熱に弱い商品には適しません。 チョコレートや低融点プラスチックを扱う場合は、事前テストで確認してください。
特に熱に弱い商品を扱う現場では、導入前の包装テストが欠かせません。テスト段階で不適合が判明し、フィルムの種類や加熱方式を変更することで解決できたケースもあります。
見落とされがちな安全対策と作業環境
シュリンク包装機は熱を扱う設備です。設置後の運用では、次の点への配慮が必要になります。
| 項目 | 内容 |
| 高温部への接触 | シール部とトンネル内部は高温になります。作業手順の中で手が入りうる箇所を洗い出し、保護具の着用ルールを決めておきましょう |
| 排熱による室温上昇 | 稼働中は周囲の温度が上がります。密閉された空間では夏季の作業環境が悪化するため、換気経路の確保が必要です |
| 熱に弱い資材の近接配置 | 機械の周囲に段ボールやフィルム在庫を積まないようにします。排熱の方向は特に注意してください |
| 緊急停止の手順 | 異常時に誰でも止められるよう、停止方法を全作業者に周知しておきます |
複数シフトが稼働する現場では、シフトごとに安全教育の機会を設けることをおすすめします。導入直後は注意が行き届いていても、時間が経つにつれて運用が緩みやすい部分だからです。
シュリンク包装のトラブル症状別・原因と対策
シュリンク包装は、フィルムの材質、加熱条件、機械の状態のいずれかが崩れると仕上がりに現れます。ここでは現場でよく発生する症状を挙げ、症状から原因を逆算できる形で整理しました。
外観の不具合
もっとも相談が多いのが、シワや白化といった見た目に関する症状です。原因の大半は熱量の不足か、熱の当たり方の偏りにあります。
| 症状 | 主な原因 | 対策 |
| シワやたるみが残る | 熱量の不足、または熱の偏り | コンベア速度を落とすか温度を上げます。改善しなければ風量バランスを調整します |
| ツノや耳立ちが出る | フィルムが商品に対して大きい、冷却の当て方の偏り | フィルム幅とシール位置を見直し、冷却の当たり方を調整します |
| 白化や濁りが生じる | 熱の当てすぎ。角部や曲面に出やすくなります | 温度を下げるかコンベア速度を上げます。フィルムの変更も検討します |
シワが出た場合は、全体に出ているのか特定の面だけに出ているのかを必ず切り分けてください。部分的にだけ残る場合は熱が均等に回っていないことが原因のため、温度を上げても解決しません。
白化は透明度が商品価値に直結する化粧品や食品では致命的になります。試作の段階で重点的に確認しておきましょう。
シールと密封の不具合
輸送中に包装が開いたり、穴が生じたりする症状です。外観の不具合と違い、商品の保護機能そのものが損なわれるため優先度が高くなります。
| 症状 | 主な原因 | 対策 |
| シールが割れる、はがれる | シール温度の不足、圧力の偏り、異物の付着 | シール条件を見直し、シール部の清掃を日常点検に組み込みます |
| ピンホールや破れが生じる | フィルムが薄い、角への応力集中、加熱のしすぎ | フィルムの厚みを見直し、角の処理と加熱条件を調整します |
シール部の清掃は特に重要です。 フィルムカスや粉が付着したままシールすると、見た目には接着していても十分な強度が出ません。
食品用途ではピンホールが異物混入のリスクと見なされる場合もあるため、定期的な検査体制を整えておくと安心です。
包装後に時間をおいて起きる不具合
包装した直後は問題なく見えても、時間の経過とともに現れる症状があります。出荷後に発覚すると対応コストが大きくなるため、注意が必要です。
| 症状 | 主な原因 | 対策 |
| 時間が経ってから形が歪む | 冷却不足によって後収縮が起きている | 出口での冷却を強化するか、自然冷却の区間を長く取ります |
| ホコリが付着する | フィルムの帯電。乾燥した環境で起こりやすくなります | 除電装置を導入します |
後収縮は目視ですぐ気づきにくい症状です。包装直後だけでなく、時間をおいてから外観をチェックする運用にしておくと発見が早まります。
トラブルを防ぐためのチェックリスト
日々の運用で次の項目を確認しておくと、多くの不具合は未然に防げます。
☐ 使用フィルムの材質、厚み、収縮特性を把握している
☐ トンネル内の温度が設定通りに出ているか、定期的に確認している
☐ 量産前に、外観、密着度、ピンホールの有無を確認した
☐ 冷却の区間を十分に確保できている
☐ シール部の清掃と消耗部材の交換を日常点検に組み込んでいる
☐ フィルム材質を変更した際、あらためて条件出しをした
症状が改善しない場合は、機械の加熱方式そのものが商品に合っていない可能性があります。 設定の調整で解決できるのか、機種の見直しが必要なのかの切り分けは、実機での検証がもっとも確実です。判断に迷う場合は相談してください。
【現場事例】シュリンク包装機で解決できた3つの課題
ここでは実際の導入現場で見られた課題と、シュリンク包装機による解決のパターンを3つ紹介します。自社の状況に近い事例があれば、検討の参考にしてみてください。
事例1 3PL現場|入荷時の破れを再シュリンクで手直し
複数荷主の商品を扱う3PL企業では、入荷時にシュリンクフィルムが破損している荷物が一定の割合で発生します。そのまま発送すれば品質クレームにつながるため、再シュリンクによる手直しが求められていました。
手作業では時間がかかり人員を固定化してしまうことが課題でしたが、小型のシュリンク包装機を1台導入することで、破れた荷物をその場で再包装できる体制が整い、作業時間の短縮と品質の安定化を両立できています。
事例2 化粧品EC|外装シュリンクで商品価値と返品率を改善
単価が高く外装の状態が購入者の満足度に直結する化粧品では、輸送中の箱の擦れや汚れが大きな問題となります。
外装にシュリンク包装を施すことで、箱の美観を保ったまま配送できるようになり、箱が汚れていたという理由の返品や交換の依頼が減少しました。結果として、顧客満足度の向上と返品処理コストの削減の両面で効果が出ています。
事例3 文房具通販|ダンボールパッド併用で資材費を削減
ペンや細かな文房具など、小さな商品を複数同梱する通販現場では、箱の中で商品が動かないよう大量の緩衝材を使用するケースが一般的でした。
ダンボールパッドの上に商品を配置してシュリンク包装で固定する方式に変更した結果、緩衝材の使用量を大幅に削減でき、資材費の圧縮に成功しています。あわせて開封時の見栄えも向上し、ブランドイメージの改善にもつながりました。
シュリンク包装機の導入を成功させる進め方

導入プロジェクトを成功させるための進め方を、4つのステップで整理します。
ステップ1 課題と要件の整理
最初に行うのは、解決したい課題と達成したい要件の明確化です。数値で言語化しておくと、機種選定の優先順位が定まります。
- 1人1時間あたりの包装件数を何個から何個へ引き上げたいのかを決めます
- 不良率を何パーセント以下に抑えたいのかを設定します
- 年間の資材費をいくら削減したいのかを数値化します
ステップ2 サンプル包装テストとデモ機確認
カタログスペックだけで機種を選ぶと、運用後に思っていた仕上がりと違う、想定の数量が出ないといったミスマッチが起こりがちです。
導入前には、実際の商品を使ったサンプル包装テストを必ず実施することをおすすめします。ダイワハイテックスでは、包装したい商品をお送りいただければ、こちらでシュリンク包装サンプルを作成して返送するサービスを提供しています。
テストによって確認できるのは、次のような点です。
- 実際の仕上がり品質を、シワやツノ、透明度の観点から確認できます
- 商品への熱の影響として、変形や変質が起きないかを検証できます
- 適したフィルムの材質と厚みを絞り込めます
- 1件あたりのフィルム使用量が分かるため、ランニングコストの試算精度が上がります
現場でのデモ機貸出しにも対応しているため、作業者の習熟度による差や、実際の動線での使い勝手まで実物ベースで検証できます。カタログでは分からない違いを事前に把握できるのが、このステップの最大の価値です。
包装したい商品や現在の課題をお知らせいただければ、適した機種の提案とあわせてテストの進め方をご案内します。
ステップ3 見積もり比較と投資判断
見積もりを比較する際は、本体価格だけでなく次の費用も合算して判断します。
- 設置工事費
- 消耗品とフィルムの初期購入費
- メンテナンス契約費
- 保証条件による差額
5年間の総保有コストと、削減できるコストを天秤にかけることで、投資判断の精度が上がります。削減できるコストには、人件費だけでなく資材費や破損率の改善分も含めて計算しましょう。
なお、省力化や省エネにつながる設備投資については、公的な支援制度が設けられています。対象となる設備や申請の要件は見直されることがあるため、詳細は中小企業庁や経済産業省などの公式サイトで最新情報を確認してください。設備投資に活用できる制度の全体像は、【最新省エネ設備の補版助金一覧|対象設備・申請の流れ・採択のコツ】で解説しています。
ステップ4 設置・オペレーター教育・運用開始
機械が届いてからも、運用が軌道に乗るまでには一定の立ち上げ期間が必要です。複数シフトが稼働する現場では、シフトごとに教育の機会を設けましょう。
あわせて標準的な操作手順を文書化しておくと、作業者が変わっても品質がぶれにくくなります。設定温度やコンベア速度など、条件出しで得られた数値も記録に残しておくと、フィルムを変更した際の比較対象として役立ちます。
通販物流で伸びる「シュリンク包装ライン化」という選択肢
ここまで単体機のシュリンク包装機を中心に解説してきましたが、通販物流の領域ではライン化というもう一つの選択肢があります。出荷量が一定規模を超える現場では、単体機ではなくラインとしてシュリンク包装を組み込む動きが広がっています。
単体機で対応しきれなくなる出荷量の目安
当社が相談を受ける中では、1日あたりの出荷量が300件を超えたあたりから、単体機の運用では人員配置やスピードの面で限界が見え始めるという声が増えます。1,000件を超える現場では、作業者を増やしても包装工程がボトルネックとなり、梱包全体のスループットが頭打ちになるケースも少なくありません。
この段階に達したら、シュリンク包装を単独工程として切り出すのではなく、商品投入から封かん、ラベル貼付までを自動化するラインへの組み込みを検討するタイミングです。包装ライン全体の考え方は、包装ラインとは?自動化のメリットと失敗しない選び方で解説しています。
自動梱包ラインに組み込むシュリンク包装の特徴
自動梱包ラインにシュリンク包装を組み込む方式では、商品の投入から包装、宛先ラベルの貼付までが連続した工程として流れます。人手を介する工程を最小限にできるため、高い処理能力と均一な品質を同時に実現できる点が強みです。
当社では、扱う商品のサイズと配送種別に応じて3つのシステムを用意しています。
| システム | 正式名称 | 適した商品サイズと配送種別 |
| BOS-Line | 箱シュリンク梱包システム | 宅配便サイズの商品をフィルムで固定します |
| PAS-Line | メール便自動梱包システム | メール便サイズで、処理スピードを重視する現場に向いています |
| MELT-Line | メール便箱自動梱包システム | メール便の最大サイズに対応し、仕上がりの美しさを重視する現場に適しています |
特にEC通販では、宅配便サイズの商品をフィルムで固定する箱シュリンク梱包システムが、緩衝材の撤廃と配送中の破損防止を両立できる仕組みとして注目されています。

メール便サイズの商品を扱う場合は、封筒タイプの自動梱包や、糊付けによる美しい仕上がりを実現するシステムなど、商品特性と配送種別に応じた選択肢があります。省スペースで高速処理を求めるならメール便自動梱包システム、開封性とブランドイメージを重視するならメール便箱自動梱包システムが候補になります。


ラインに組み込む周辺工程については、テープ貼り自動化とは?導入メリットと装置の選び方や、ラベル貼り機の自動化とは?種類・選び方・導入効果もあわせて参考になります。
単体機とライン化の比較
| 比較ポイント | 単体機 | ライン化 |
| 初期投資 | 低〜中 | 高 |
| 処理スピード | 中 | 高 |
| 必要人員 | 1〜数人 | 最小限 |
| 設置スペース | 小〜中 | 大(ライン全体) |
| 向いている出荷量 | 1日300件まで | 1日300件以上 |
自動梱包の設備全般については、自動梱包機とは?種類・選び方・費用で詳しく解説しています。
自社にとってどちらが適しているかの判断に迷う場合は、自社と近い出荷規模や商品特性の企業がどう導入したかを見るのが近道です。導入後の体制や効果が具体的にイメージできるため、社内での検討もスムーズに進みます。
次の事例集では、業種別や出荷規模別の導入事例をまとめました。自社に近いケースを探す手がかりとして活用してください。
シュリンク包装機に関するよくある質問
最後に、検討時によく寄せられる質問をまとめました。
Q1 家庭用電源(100V)でも使えますか?
小型の卓上型やコンパクトなトンネル型であれば、100V電源で動作する機種があります。追加の電気工事が不要なため、事務所内や店舗のバックヤードでも設置しやすい点がメリットです。
中型や大型の機械、自動機は200V動力電源が必要なケースが多くなります。導入前に仕様を確認しておきましょう。
Q2 工業用ドライヤーとの違いは何ですか?
工業用ドライヤーは、手作業で熱風を当ててフィルムを収縮させる簡易的な方法です。導入コストは最小限に抑えられますが、仕上がりが作業者の技量に依存し、作業時間も長くなります。
シュリンク包装機は熱風を均一に当てる機構を持っており、誰が作業しても一定の品質で仕上がる点が大きく異なります。
Q3 食品にも使えますか?
食品にも幅広く使用されています。弁当、パン、菓子、冷凍食品などの現場で導入実績がありますが、チョコレートなど熱に弱い食品は加熱方式や温度設定に注意が必要です。
衛生面を重視する現場では、ツノやシワの少ないPOFフィルムとの組み合わせが選ばれる傾向にあります。
Q4 メンテナンスの頻度はどのくらいですか?
消耗品の代表は、シール部のヒーター線とテフロンシートです。交換の頻度は機種や使用条件、フィルムの材質によって大きく異なるため、使用している機種の推奨仕様を確認してください。
日常のメンテナンスは、トンネル内の清掃とフィルムカスの除去が中心になります。定期的な点検で故障の予兆を早期に発見することが、長期稼働のコツです。
Q5 小ロットやスポット用途でも導入する価値はありますか?
卓上型のシュリンク包装機を1台置いておくだけで、現場の柔軟性が大きく変わります。入荷時の破れ直し、単価の高い商品の個別包装、ギフト対応、季節商品の期間限定パッケージングなど、用途は多岐にわたります。
必要なときにすぐ使える環境が整うことで、機会損失の防止や顧客対応の質向上につながります。
Q6 中古のシュリンク包装機を選んでも問題ありませんか?
初期費用を抑えられる有効な選択肢ですが、消耗部材が現在も入手できるかを必ず確認してください。ヒーター線やテフロンシートの供給が終了していると、稼働を維持できなくなります。
あわせて保証範囲、メンテナンス履歴、修理対応先の3点も確認しておきましょう。詳しくは、梱包機の中古はあり?メーカーが教える選び方のポイントで解説しています。
Q7 シュリンク包装とストレッチ包装は何が違いますか?
シュリンク包装は熱で縮めて商品に密着させる方式、ストレッチ包装はフィルムを伸ばして巻き付ける方式です。前者は商品1点ごとの保護や見栄えを重視する用途に、後者はパレット単位の荷崩れ防止に向いています。
両者の使い分けは、ストレッチ包装機とは?種類・選び方・導入メリットにまとめました。
Q8 仕上がりにシワやツノが出ます。何を確認すればよいですか?
まずシワが全体に出るのか、特定の面だけに出るのかを確認してください。全体であれば熱量不足の可能性が高く、温度を上げるかコンベア速度を落とすことで改善します。
部分的に出る場合は熱の当たり方が偏っているため、温度設定を変えても解決しません。風量バランスの調整か、加熱方式の見直しが必要になります。
Q9 書籍やコミックの包装にはどのタイプが適していますか?
書籍は直方体で形状が安定しているため、L型シュリンク対応機が適しています。冊数が少なければ卓上型、書店やEC倉庫で継続的に処理するなら自動タイプが選択肢になります。
書籍の梱包全般については、本の梱包方法を完全ガイド|1冊から大量発送までも参考にしてください。
Q10 導入までにどのような準備が必要ですか?
大きく分けて、サンプル包装テストによる仕様の確定、設置スペースと電源環境の確認、社内での投資判断という3つの準備が必要です。特に200V電源が必要な機種では電気工事の手配も加わります。
必要な期間は機種の規模によって変わり、卓上型に比べてライン組込型では検討から稼働までの工程が多くなります。稟議のスケジュールを組む際は、余裕を持った計画を立てておくと安心です。
まとめ|出荷量と商品特性に合った一台を選ぼう
シュリンク包装機は、商品価値の保護、作業効率化、資材コスト削減、ブランド保護など、複数の役割を担う重要な設備です。選定のポイントをあらためて整理します。
- 3つの分類軸と5つの判断軸で候補を絞ります。 加熱方式、設置形態、自動化レベルでタイプを見極め、数量、形状、電源、仕上がり、予算で機種を決めていきます。
- 導入前にサンプル包装テストとデモ機確認を必ず実施します。 カタログでは分からない差が必ずあるためです。
- 本体価格だけでなく、フィルム代や不良率まで含めた総保有コストで比較します。
- 出荷量が1日300件を超えるなら、自動梱包ラインへの組み込みも検討します。
判断に迷った際は、次のいずれかから始めるのが確実です。
| やること | 得られるもの |
| サンプル包装テストを依頼する | 自社商品での実際の仕上がりと、適したフィルムが分かります |
| デモ機を試す | 現場の動線での使い勝手と、実際の処理数を把握できます |
| 導入事例集を見る | 自社と近い規模の企業がどう導入したかを確認できます |
自社の現在の課題と将来の成長を見据えて、最適な投資判断をしていきましょう。機種選定や導入プロセスで迷われた際は、実機の見学、サンプル包装のテスト、事例集の確認など、判断材料を増やすアクションが有効です。
自社の商品や出荷規模に近い事例を見ることで、導入後のイメージが一気に具体化します。包装工程の課題について迷われている場合は、気軽に相談してください。
【この記事の著者】

ダイワハイテックス編集部
ダイワハイテックス編集部では、物流・倉庫業務、梱包・包装に関する実務情報を発信しています。国内150ライン以上への導入実績と、社内エンジニアによる設計・保守の知見をもとに、現場の作業効率化、省人化、コスト削減につながる情報を分かりやすくお届けします。









