
更新日 2026-07-30
※記事内の画像は一部生成AIを使用し作成しています
物流の2026年問題とは、改正法により荷主企業にCLO選任や中長期計画の作成が義務づけられる制度改正です。特定荷主の判定基準から義務の内容、荷待ち・荷役時間短縮の具体策までを、梱包設備メーカーの現場知見をもとに解説します。
物流の2026年問題は、荷主企業に物流効率化の義務が課される制度改正です。
EC運営者や製造業の物流部門、物流代行事業者に向けて、自社が対象になるかの判定手順から、義務の中身、そして荷役時間を短縮する具体策までが分かります。
この記事で分かること
- 自社が「特定荷主」に該当するかどうかを判定する手順
- 荷主に課される3つの義務と、国が示している効率化の目標水準
- 中長期計画に書くべき要素と、盛り込める施策の選び方
- 荷役時間を左右しながら見落とされやすい「梱包工程」の改善策
【この記事の著者】

ダイワハイテックス編集部
ダイワハイテックス編集部では、物流・倉庫業務、梱包・包装に関する実務情報を発信しています。国内150ライン以上への導入実績と、社内エンジニアによる設計・保守の知見をもとに、現場の作業効率化、省人化、コスト削減につながる情報を分かりやすくお届けします。
目次
- 物流の2026年問題とは
- 物流の2024年問題との違い
- 自社は対象?「特定荷主」の判定基準と確認手順
- 特定荷主に課される3つの法的義務
- 中長期計画に何を書くか
- 違反した場合の行政措置と経営リスク
- 制度対応を投資機会として捉える
- 事業に生じる影響と業種別の優先課題
- 荷主が取り組むべき6つの対策
- 「梱包工程」が荷役時間を左右する理由
- 荷役時間の内訳に占める梱包作業の実態
- 手作業梱包が生む3つのボトルネック
- 「梱包機」と「自動梱包ライン」は別の設備である
- 自動梱包ライン導入で得られる3つの効果
- 荷姿の見直しが積載効率に効く理由
- 中長期計画への記載例
- 自社の対応状況セルフチェック
- よくある質問
- 特定荷主に該当しない企業は何もしなくてよいのでしょうか
- CLOは既存役員が兼任してもよいのでしょうか
- CLOには誰を選任するのが適切ですか
- 中小規模のEC事業者にも影響はありますか
- 荷主と物流事業者、どちらが荷待ち時間削減の主導権を持つのでしょうか
- 中長期計画に設備投資をどう書けばよいですか
- 荷役等時間はどうやって計測すればよいですか
- 梱包作業の自動化はどの規模から効果が出ますか
- 自動梱包ラインの導入検討はどのように進みますか
- 出荷件数がそれほど多くない現場でも効果は出ますか
- まとめ|2026年問題は「経営課題」として取り組むフェーズへ
物流の2026年問題とは

物流の2026年問題とは、改正物流効率化法によって、一定規模以上の荷主企業に物流効率化への法的義務が課されることで生じる経営課題です。
これまで運送事業者側の問題として扱われてきた物流課題が、荷主側の責任として位置づけ直されたことが最大の特徴になります。まず押さえておきたいポイントは、次の3つです。
| # | ポイント | 概要 |
| 1 | 規制対象の拡大 | 運送事業者に加え、荷主企業が新たな規制対象となった |
| 2 | 努力義務から法的義務へ | CLO選任・計画提出・定期報告が義務化された |
| 3 | 2030年危機からの逆算 | 輸送力不足を回避するため構造改革のタイムリミットが設定された |
「2026年問題」には2つの意味がある
検索すると2種類の解説が出てくるため、最初に整理しておきます。
ひとつは本記事で扱う改正物流効率化法による荷主への義務化を指すものです。もうひとつは、働き方改革関連法によるトラックドライバーの労働時間規制が完全に実施される段階を指しています。
両者は無関係ではありません。後者によって顕在化した輸送力不足に対応するために前者が導入された、という関係にあります。
ただし荷主企業が「自社は何をすべきか」を判断するうえで直接関わってくるのは前者です。本記事では改正物流効率化法にもとづく制度改正を扱っていきます。
改正物流効率化法で何が変わったのか
改正物流効率化法の現行の正式名称は「物資の流通の効率化に関する法律」です。
改正前の同法は認定事業を通じた支援制度として機能していましたが、改正後は規制的措置として特定事業者への義務付けが組み込まれました。
計画策定や定期報告を通じて物流効率化を国が継続的にモニタリングする仕組みへと、大きく舵が切られた形になります。法改正の詳細な内容や手続きについては、国土交通省などの公式サイトで最新情報をご確認ください。
荷主への規制は段階的に導入されている
この制度でつまずきやすいのが、「うちは特定荷主ではないから関係ない」という誤解です。実際には、規制は次の2層構造になっています。
| 層 | 対象 | 内容 |
| 第1層 | すべての荷主・物流事業者 | 荷待ち時間・荷役等時間の短縮、1回の運送あたりの積載量の増加に関する努力義務 |
| 第2層 | 一定規模以上の特定事業者 | CLOの選任、中長期計画の作成・提出、定期報告の義務 |
つまり、特定荷主に該当しない企業であっても第1層の努力義務は課されています。
規模を問わず、何らかの取り組みが求められる制度設計だと理解しておく必要があります。
「2030年に輸送力34%不足」からの逆算
国土交通省の試算では、何も対策を講じなければ、2030年には全国で約34%の輸送力が不足するとされています。
日々発生する荷物の3分の1が運べない事態は、小売業や製造業を含むあらゆる産業に直接的な打撃となりかねません。
2026年問題は、この2030年危機から逆算したタイムリミットとしての意味を持つものです。法改正をきっかけに、物流構造そのものを早期に適正化していく必要性が国として明示されました。
出典 --- 国土交通省「我が国の物流を取り巻く現状と取り組み状況」
問題の主語が運送事業者から荷主へ移った
従来、物流の効率化は運送事業者の現場努力に依存する構図が続いてきました。荷待ち時間や荷役時間の長さも、配車側や作業現場の問題として片づけられる傾向があったといえるでしょう。
しかし今回の改正では、物流を発生させている側である荷主企業が、構造改革の主語として位置づけ直されています。発注頻度、納品指定時間、パレット規格、梱包仕様といった荷主側の意思決定が、物流の効率を根本から規定しているという認識が制度化された形です。
この転換により、これまで力関係から見直しが難しかった商慣行にも変化が生じると考えられます。荷待ち時間の無償提供や、無理のある短時間指定配送といった慣行についても、法的根拠を背景に是正を求めやすくなってきました。
物流の2024年問題との違い
2024年問題と2026年問題は、ともに物流分野の重要な制度変更ですが、性質はまったく異なります。本章では、両者の違いを早見表と要点解説の2段階で整理します。
比較早見表で違いを確認する
以下の表で、主な違いを一目で確認できます。
| 比較項目 | 2024年問題 | 2026年問題 |
| 根拠法 | 働き方改革関連法(改正労働基準法) | 改正物流効率化法(物資の流通の効率化に関する法律) |
| 主な規制対象 | トラックドライバー・運送事業者 | 荷主企業(特定荷主)など |
| 規制の内容 | 時間外労働の上限規制(年960時間) | CLO選任、中長期計画、定期報告 |
| 義務の性質 | 労働時間管理 | 物流効率化の経営責任 |
| 違反時の扱い | 労働基準法違反 | 勧告・命令・罰則・社名公表 |
| 解決すべき視点 | 現場の運行管理 | 経営レベルでの構造改革 |
「働き方」を問う2024年問題、「仕組み」を問う2026年問題
2024年問題の核心は、ドライバーという働き手の労働環境をどう守るかという労務問題でした。これに対し2026年問題は、物流という仕組みそのものをどう設計し直すかという事業構造の問題です。
両者は地続きの課題であり、働き方の是正だけでは輸送力の不足を埋められないという認識から、仕組み側への踏み込みが必要と判断されました。
したがって2024年問題への対応が一段落した企業であっても、新たな検討フェーズとして独立して取り組む必要があります。
あわせて読みたい --- 物流業界の課題15選|2024年問題の現状と現場で効く解決策を徹底解説
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自社は対象?「特定荷主」の判定基準と確認手順
規制対象となるのは、一定規模以上の事業者です。本章では、自社が該当するかどうかを判断するための定義、区分、実務的なチェック手順を整理します。
年間9万トン以上が基準となる「特定荷主」の定義
特定荷主に指定されるのは、年間の取扱貨物量が9万トン以上の荷主企業です。
基準を満たす企業は国内貨物量の相当部分を占めるとされています。日本の物流の大きな割合を動かしている主要プレイヤーを、まとめて制度の管理下に置く設計になっているわけです。
特定事業者の4つの区分
特定事業者は、業態と役割によって次の4区分で整理されます。
| 区分 | 指定基準 |
| 特定第一種荷主 | 自社が契約する運送会社を通じた年間出荷量が9万トン以上 |
| 特定第二種荷主 | 自社が契約していない車両からの年間入荷量が9万トン以上 |
| 特定連鎖化事業者 | フランチャイズ本部等で加盟店を通じた年間貨物量が9万トン以上 |
| 特定貨物自動車運送事業者 | 保有車両150台以上 |
このほか、一定規模以上の貨物保管量をもつ倉庫事業者も規制対象になります。
規制の対象は荷主だけではありません。特定貨物自動車運送事業者や倉庫事業者にも、荷待ち・荷役時間の削減に向けた計画の策定、取引先との契約条件の見直し、定期的な報告が求められています。
荷主と物流事業者の双方に義務を課すことで、片側だけの努力に依存しない改善を促す設計になっていると考えられます。
判定時に見落としやすい「間接輸送」の扱い
実務上もっとも注意が必要なのは、自社が直接契約していない車両による輸送量まで判定に含まれる点です。
取引先経由で入荷される貨物や、委託先が手配した車両による輸送も対象となるため、自社契約分だけを集計していると判定を誤る恐れがあります。実務では、次の3点が特に漏れやすいポイントになります。
- 着荷主としての入荷分 --- 仕入先が手配した車両で届く貨物は、自社の物流部門が関与していないためそもそも数量が集計されていないケースが目立ちます
- 委託先が再委託した輸送 --- 物流業務を外部に委託している場合、実際の運送は別会社が担っていることがあります
- 拠点をまたぐ社内輸送 --- 工場間や倉庫間の横持ち輸送は集計対象から外れやすくなっています
物流の全体像を把握できていない企業では、まず取引先との間で輸送条件を棚卸しし、総量ベースで年間貨物量を把握することから着手すべきでしょう。
該当判定セルフチェックの5ステップ
自社が特定荷主に該当するかどうかは、次の手順で確認できます。
- 直近年度の出荷・入荷データを拠点ごとに集計します
- 自社契約分の出荷量と、他社契約分を含む入荷量をそれぞれ算出します
- いずれかが9万トン以上に達していないかを確認します
- 複数拠点を有する場合は合算して判定します
- フランチャイズ本部である場合は、加盟店経由の貨物量も含めて計算します
基準値に近い企業は、将来の事業成長や需要変動によって該当する可能性があります。早期にデータ把握の仕組みを整えておくことが得策です。
通知を待たずに自ら算定しておく
実務担当者からよく寄せられるのが、「国から連絡が来るまで待っていてよいのか」という質問です。
制度は、事業者が自ら取扱貨物重量を算定することを前提としています。したがって通知待ちという姿勢は、適切な対応とはいえません。
基準値に近い企業がまず取り組むべきなのは、法対応の書類作成ではなく、自社が対象になり得るかを定量で確定させる作業です。前述のとおり間接輸送分の集計漏れが起きやすいため、データ取得の仕組みづくりから着手してください。
判定の基準や届出の手続きについては、国土交通省などの公式サイトで最新情報をご確認ください。
あわせて読みたい --- 物流KPIとは?指標一覧・計算式から設定手順・改善事例まで解説
特定荷主に課される3つの法的義務
特定荷主に指定された企業は、法令上の義務を3つ負うことになります。本章では、それぞれの内容と実務上の留意点を順に解説します。
物流統括管理者(CLO)の選任
CLOとは、物流の最適化を経営レベルで推進するために新設された役職です。
役員クラスから選ばれることが想定されており、単なる現場管理の延長ではありません。調達、生産、販売、在庫といった部門を横断して物流を最適化する権限を持つポジションとなります。
CLOが形式的な肩書きに終わると、制度が求める実効性は発揮されません。選任にあたっては、次の3点を満たしているかを確認してください。
| 観点 | 確認すべきこと |
| 権限 | 他部門の意思決定に介入できる立場か |
| 情報 | 荷待ち・荷役時間などの実績データが集まる導線が設計されているか |
| 予算 | 改善に必要な設備投資やシステム投資を判断できる立場か |
財務の視点、DXへの理解、事業戦略との接続を備えた人材配置が鍵を握ります。
中長期計画の作成・提出
特定荷主は、荷待ち時間・荷役時間の短縮や積載効率の向上などに関する中長期計画を策定し、国に提出することが義務付けられています。
計画には次の3点を明記することが求められます。
- 実施する措置の内容
- 具体的な目標値
- 実施時期
計画は提出して終わりではなく、実行状況が定期報告を通じて継続的にモニタリングされる仕組みです。机上の計画ではなく、実行可能性が問われる点に注意が必要となります。
提出の様式や方法については、国土交通省などの公式サイトで最新情報をご確認ください。計画に何を書くかは次章で詳しく解説します。
定期報告と取扱貨物重量の届出
特定事業者は、取扱貨物量や効率化への取り組み状況について、定期的に国へ報告する義務を負います。報告内容が不十分である場合には指導の対象となり、その後の勧告や命令につながる可能性もあるでしょう。
届出や報告に必要なデータを継続的に取得する体制を社内で構築しておかないと、報告のたびに慌てて数字をかき集めることになりかねません。
報告のためにデータを集めるのではなく、日常的に取得しているデータをそのまま報告に使える状態を目指すのが、負荷を抑える現実的な進め方だと考えられます。
国が示している効率化の目標水準
義務の内容だけを見ていると、どこまでやれば十分なのかが見えてきません。国はいくつかの定量的な目標水準を示しており、これが実務上の基準になります。
| 項目 | 目標水準 |
| 荷待ち・荷役等時間 | 1運行あたり計2時間以内。達成できた荷主はさらに1時間以内を目指す |
| 積載効率 | 車両全体で44%への引き上げ |
| ドライバーの拘束時間 | 1人当たり年間125時間の短縮 |
出典 --- 国土交通省「物流革新に向けた政策パッケージ」
これらの数値は、中長期計画で目標値を設定する際の重要な参照点になります。特に荷待ち・荷役等時間の2時間という水準は、後述する梱包工程の改善と直結する指標です。
中長期計画に何を書くか

計画の作成でつまずくのは、「何を書けばよいか分からない」という段階です。本章では、参照できる公的資料と施策の選び方を整理します。
公開されている記載事例を活用する
まず知っておきたいのが、国が中長期計画書や定期報告書の記載事例を公開している点です。
業種や取り組みの進み具合に応じた例が示されているため、自社に近いものを参照すれば、どの程度の粒度で書けばよいかがつかめます。あわせて対応の手引書も公表されていますので、計画作成に着手する前に一読しておくことをおすすめします。
公開資料の内容は更新されることがあります。最新の様式や記載例については、国土交通省などの公式サイトでご確認ください。
計画に盛り込むべき5つの要素
記載事例を踏まえたうえで、自社の計画に必要な構成要素を整理すると次の5つになります。
| # | 要素 | 内容 |
| 1 | 現状KPIの設定 | 荷待ち・荷役・積載効率・取扱貨物量を拠点別に整理する |
| 2 | 段階的目標の設定 | 短期と中期に分けて達成レベルを明示する |
| 3 | 実行体制の設計 | CLO直下で部門横断のプロジェクトを組成する |
| 4 | 投資計画 | 設備・DX・人材への投資をバランスさせる |
| 5 | モニタリング指標 | 月次で進捗を追える指標を設定する |
5つの要素は独立しているわけではなく、前の要素が後の要素の前提となる構造です。特に現状KPIの設定が曖昧なまま走り出すと、目標の妥当性も進捗のモニタリングも崩れてしまいます。
実行体制については、物流部門だけで完結させないことが重要です。発注リードタイムや納品ルールの改善は、営業、調達、生産部門の理解と協力なしには進みません。
投資計画では、自動梱包ラインやWMSなどの導入を、初期費用だけでなく人件費削減効果や出荷能力の向上まで含めて評価する視点が求められます。
あわせて読みたい --- 省人化投資とは?物流現場の実例で学ぶ判断基準とROIの考え方
ソフト施策とハード施策を組み合わせる
計画に盛り込む施策は、運用で解決するソフト施策と、設備で解決するハード施策に分けて考えると整理しやすくなります。
| 区分 | 施策例 | 特徴 |
| ソフト施策 | バース予約受付システム、着車時間の平準化、納品リードタイムの見直し、パレット標準化、共同配送 | 投資負担が小さく着手しやすい。取引先との合意形成が必要 |
| ハード施策 | 荷捌き場の整備、マテハン機器の導入、梱包・出荷工程の自動化 | 効果を数値で示しやすく計画に書き込みやすい。投資判断と工期の検討が必要 |
多くの企業がソフト施策から着手しますが、それだけでは限界があります。
たとえばバース予約で着車を平準化しても、倉庫側の出荷準備が間に合わなければ待ち時間は解消されません。荷待ち時間の削減は、車両側の運用と倉庫側の処理能力の両輪で成立するものだからです。
中長期計画では両者を組み合わせ、それぞれに目標値と実施時期を割り当てる構成にしておくと、実効性が伝わる計画になります。
計画が形骸化する3つのパターン
計画作成の相談を受けていると、実行段階で止まってしまう典型的なパターンが見えてきます。
- KPIの粒度が粗い --- 「荷待ち時間を削減する」だけでは、どこの何を改善すればよいかが決まりません。拠点別、取引先別、時間帯別まで分解して初めて、打ち手が特定できます
- 物流部門だけで完結している --- 納品時間指定の緩和や発注ロットの見直しは、営業や調達の協力なしには実現しません。CLOを置く意義は、部門間の壁を越える権限にあります
- 投資計画が初期費用だけで評価されている --- 削減できる人件費、増える出荷処理能力、採用リスクの回避効果まで含めて評価する枠組みを、計画段階で決めておいてください
違反した場合の行政措置と経営リスク
義務に違反した場合のリスクは、行政措置にとどまりません。本章では、段階的な措置の流れと、その先にある経営インパクトを整理します。
勧告から命令に至る段階的な流れ
違反時の行政措置は、次の段階を経て進みます。
- 指導や助言が行われます
- 是正勧告が実施されます
- 勧告に従わない場合は公表や命令の発出に進みます
- 命令にも従わない場合は罰則の適用対象となります
義務に違反した場合には罰則が設けられています。適用の要件や内容については、国土交通省などの公式サイトで最新情報をご確認ください。
処分そのもの以上に、企業にとって痛手となるのは次に述べる部分です。
社名公表によるレピュテーションリスク
勧告や命令が行われた事実が公表されると、企業名が物流効率化に非協力的な事業者として世に知られることになります。
報道やSNSで拡散された場合、顧客、取引先、採用候補者に対する企業イメージへの影響は避けられません。物流が社会インフラであるとの認識が広がる中、効率化に背を向ける姿勢は、サステナビリティ経営の観点からもネガティブに評価されやすくなっています。
近年はESGや非財務情報開示の潮流を背景に、物流領域における企業の責任ある行動が投資判断の材料となりつつあります。対応状況は、今後「物流ガバナンス」とも呼べる評価軸として、取引先や金融機関の目に留まっていくと考えられます。
単なる法令遵守にとどまらず、企業の持続可能性を示す要素として対応を進める視点が求められるでしょう。
制度対応を投資機会として捉える
ここまでは義務とリスクを中心に見てきましたが、この制度対応にはプラスの側面もあります。本章では、社内で予算を確保するための3つの視点を整理します。
支援措置の活用を検討する
物流効率化に向けた取り組みについては、認定を受けることで税制上の優遇や支援措置の対象となり得る制度が設けられています。設備投資を伴う改善を検討している企業にとっては、投資判断を後押しする材料になるでしょう。
対象となる要件や措置の内容は制度によって異なり、随時見直されます。活用を検討する際は、国土交通省などの公式サイトで最新情報をご確認ください。
あわせて読みたい --- 【最新版】省エネ設備の補助金一覧|対象設備・申請の流れ・採択のコツを解説
投資回収の議論に置き換える
法対応というだけでは、社内で予算が付きにくいのが実情です。
しかし荷役時間の短縮や積載効率の向上は、いずれもコスト構造に直接効く改善でもあります。守りの投資ではなく収益構造の改善として社内提案できるかどうかが、計画の実行力を左右します。
考え方を整理するために、仮の数値を置いた試算例を挙げてみます。以下はあくまで仮定にもとづく計算であり、実際の効果は現場の条件によって大きく変わる点にご注意ください。
仮に1日の出荷が2,000件、梱包工程に8名が従事している現場を想定した試算例
自動化によって梱包工程の従事者を半数に削減できたと仮定します。1名あたりの年間人件費を300万円と置けば、削減額は年間で1,200万円という計算になります。
ここに繁忙期の増員コストや採用にかかる費用の減少分を加えると、投資回収の見通しは立てやすくなるでしょう。初期費用の絶対額ではなく年間の削減額と並べて評価する枠組みを先に決めておくことが、社内提案を通すうえでの実務的なコツです。
取引先との交渉材料として使う
これまで一方的に受け入れてきた納品条件や時間指定について、法制度を背景に見直しを提案しやすくなりました。
荷待ち・荷役時間の実績データを持っていれば、取引先との協議は感覚論ではなく事実にもとづく議論になります。
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事業に生じる影響と業種別の優先課題
法的義務の履行だけでなく、事業運営そのものにも構造的な影響が生じます。本章では、業種を問わず生じる影響を整理したうえで、業態ごとの優先課題を見ていきます。
業種を問わず生じる5つの実務インパクト
荷主企業が備えるべきインパクトは、次の5つに整理できます。
| # | インパクト | 要点 |
| 1 | 物流コストの構造的な上昇 | 運賃適正化・待機削減・積載向上に伴うコスト増が商品原価にも波及する |
| 2 | 発注・出荷リードタイムの見直し圧力 | 短すぎるリードタイムは配車効率を下げ荷待ち時間を増大させる |
| 3 | 取引契約・運賃交渉の再設計 | 荷役時間・付帯作業・運賃内訳の透明化が求められる |
| 4 | 組織横断でのデータ管理体制の構築 | WMSやTMSの連携を前提としたKPI計測体制が必要になる |
| 5 | サプライチェーンBCPの再評価 | 輸送能力不足と災害・国際情勢リスクの重複を想定した備えが必要 |
これらは相互に絡み合っており、物流部門単独では解決しきれません。経営としてどの順番で手を打つかという優先順位の設計が、成否を左右します。
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ECサイト運営者が直面する課題
EC事業者にとって痛みが大きいのは、多頻度小口配送とセール期の出荷波動です。
1件あたりの物量が小さく、商品サイズや同梱依頼のバリエーションも多いため、積載効率を確保しにくい構造を抱えています。優先して取り組むべきテーマは次の3点です。
- 出荷波動をならすための受注・配送リードタイム設計
- 梱包サイズの標準化と梱包工程の省人化
- 配送キャリアとの運賃・サービス設計の見直し
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製造業・メーカー物流部門が直面する課題
製造業では、ジャストインタイム方式や多頻度納入を続けてきた企業ほど、影響を強く受けます。
パレット規格の不統一、積み合わせの制約、納品時間指定の厳しさなどが、荷待ち時間と積載効率の両方に悪影響を与えやすい傾向があります。
パレット標準化、共同配送、モーダルシフトの検討、そして取引先との納品ルール再交渉が優先課題になります。CLO主導で生産計画側とすり合わせる運営体制が欠かせません。
物流代行・3PL事業者が直面する課題
物流代行や3PL事業者は、直接の規制対象かどうかに関わらず、荷主側の義務履行を実質的に支える立場にあります。
荷主との間で、荷待ち・荷役時間の責任分界、計測データの共有方法、改善提案の進め方を再設計する必要があるでしょう。
今後は単なる作業受託にとどまらず、荷主の中長期計画の実行パートナーとしての機能が問われるフェーズに入っていきます。荷主が計画に書ける改善案を提示できるかどうかが、選ばれる条件になっていくと考えられます。
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特定荷主に該当しない企業が受ける影響
年間9万トンには到底届かないという中小規模の事業者も、影響を受けないわけではありません。実際には次の3方向から圧力がかかります。
| 圧力の方向 | 内容 |
| 取引先からの協力要請 | 取引先が特定事業者に指定されている場合、納品条件の変更や荷捌き環境の整備を求められる |
| 配送キャリア側の変化 | 運賃改定、配送リードタイムの長期化、同梱や荷姿の制限強化が進む |
| 努力義務の存在 | 荷待ち時間や荷役等時間の短縮に関する努力義務は規模を問わず課されている |
要請を受けたときに何もしていない状態では、交渉の余地がありません。荷待ち・荷役時間を計測しているというだけでも立場は変わりますので、まずは実態把握から着手してください。
荷主が取り組むべき6つの対策
制度への対応は、打つべき施策の順番を誤ると効果が出にくくなります。本章では、取り組みの優先順位を踏まえた6つの対策を整理しました。
| 対策 | 内容 | 優先度 |
| ① 物流量・荷待ち・荷役時間の可視化 | 拠点別・取引先別・時間帯別のKPIを計測する | 最優先 |
| ② 荷待ち・荷役時間の短縮 | 1運行あたり合計2時間以内を目指す運用改善を行う | 高 |
| ③ 積載効率の向上と共同配送 | 自社便単独の最適化を超えた連携策を検討する | 高 |
| ④ モーダルシフトの導入検討 | 長距離輸送で鉄道や船舶を活用する | 中 |
| ⑤ 物流DXの推進 | WMS・TMS・配車最適化の仕組みを活用する | 中 |
| ⑥ 梱包・出荷工程の自動化 | 倉庫側のボトルネックを解消する | 高 |
可視化と運用改善から着手する理由
対策の出発点は、自社の現状を数値で把握することです。計測できていないものは改善できないため、①の可視化が事実上の前提条件になります。
そのうえで荷待ち時間や荷役時間の短縮を図るには、入出荷予約システム、バース管理、着車時間の平準化など、受け入れ側の運用改善が効果を発揮します。
前章のとおり、1運行あたりの荷待ち・荷役等時間を合計2時間以内にすることが目標水準として示されている点も押さえておきたいところです。
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積載効率・モーダルシフト・DXの3本柱
中期的な取り組みとしては、次の3つが中核となります。
- 積載効率の向上 --- 同業他社や近隣エリアの荷主と組む共同配送で大きく引き上げられます
- モーダルシフト --- CO2排出量の削減と輸送力確保を同時に実現できる施策です
- 物流DX --- WMSやTMS、配車最適化の仕組みの活用により業務プロセスそのものを変革します
これらは相互補完的であり、1つだけを進めても全体効果は限定的になってしまいます。
あわせて読みたい --- 物流自動化の進め方とは|メリット・課題・最新事例を梱包機メーカーが徹底解説
見落とされがちな「梱包・出荷工程の自動化」
⑥の梱包工程の自動化は、制度解説の文脈ではあまり取り上げられませんが、荷役時間の短縮において大きな効果をもたらす領域です。
梱包作業の速度と品質が安定すれば、出荷締切時刻のぎりぎりまで受注を取り込めるようになり、積載効率の向上にもつながります。
配車やルートの議論に注目が集まりやすい一方で、倉庫内の梱包工程を自動化することは、法対応における隠れた急所の一つといえるでしょう。次章で詳しく掘り下げます。
「梱包工程」が荷役時間を左右する理由

荷役時間の議論では、トラックへの積み込み時間ばかりが注目されがちです。しかし実際の現場では、梱包工程のボトルネックが、積み込み時刻や荷待ち時間を大きく左右しています。
本章では、梱包設備メーカーとしての実務知見にもとづき、この見落とされやすい論点を掘り下げます。
荷役時間の内訳に占める梱包作業の実態
荷役時間は、荷積み・荷下ろしに限らず、倉庫側での仕分け、検品、梱包、出荷準備までを含む概念として扱われるのが一般的です。そのなかでも梱包工程は、人手依存の度合いが高く、ボトルネックになりやすい領域になります。
EC物流や通販物流では、1日に数千件から数万件規模の出荷を扱う現場が少なくありません。自動梱包ラインの導入支援を通じて把握している実態として、繁忙期の遅延要因の多くは、配車やルート計画ではなく、倉庫内の梱包工程の詰まりに起因しています。
梱包が遅れれば、トラックへの積み込み時刻そのものが後ろ倒しになります。結果として、ドライバーの待機時間を生む発生源にもなってしまうのです。
手作業梱包が生む3つのボトルネック
手作業中心の梱包現場には、次のようなボトルネックが潜んでいます。
- 品質のばらつき --- 作業者ごとに仕上がりが異なり、破損や再梱包が発生します
- 波動への対応力不足 --- 繁忙期に人員を急増させても、教育と品質管理が追いつきません
- 誤出荷のリスク --- 目視検品に依存するため、ヒューマンエラーが一定確率で生じます
これらはいずれも、荷役時間の長期化と不安定化を招く要因となります。とくに2つ目は、人員を増やしても解決しないという点で厄介な問題です。
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「梱包機」と「自動梱包ライン」は別の設備である
梱包工程の機械化を検討する際に、まず整理しておきたいのが設備の呼び方です。ここを混同したまま検討を進めると、必要な設備にたどり着けません。
梱包機は、PPバンドやPETバンドで荷物を固定・結束するための機械単体を指します。結束機とほぼ同じ意味で使われる場面も多くあります。
作業者が手でバンドを掛ける手動タイプ、商品を置いてスイッチを押すと引き締めや溶着といった一部の工程を機械が担う半自動タイプなど、自動化の度合いによって種類が分かれます。
一方、包装機は商品を袋やフィルム、箱などに封入・包装する機械であり、結束とは別の工程を担います。そして自動梱包ラインは、通販物流の梱包工程を自動化するライン設備です。
| 設備 | 担う工程 | 想定される現場 |
| 梱包機(単体機・半自動機) | PPバンド等による結束 | 小規模な結束作業、スポット用途 |
| 包装機 | 袋・フィルム・箱への封入 | 商品の一次包装 |
| 自動梱包ライン | 封入・封かん・ラベル貼付の連続処理 | 通販物流の連続出荷 |
重要なのは、自動梱包ラインにバンド結束の工程は含まれない点です。名称は似ていても、梱包機と自動梱包ラインは担う工程がまったく異なります。
通販物流において荷役時間を左右しているのは、主に3つ目の領域です。1日数百件から数万件の出荷をさばく現場では、封入から封かん、ラベル貼付までを連続して処理できるかどうかが、出荷締切時刻を守れるかどうかを決めています。
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自動梱包ライン導入で得られる3つの効果
ダイワハイテックスでは、書籍包装で培った技術を起点に通販物流向けの自動梱包ラインを開発し、メール便封筒、メール便箱、宅配箱といった主要な荷姿に対応する設備を長年提供してきました。
導入現場から得られた効果は、大きく次の3つに整理できます。
- 作業効率の向上 --- 手作業時と比較して数倍の出荷スピードを実現した事例があります
- 人件費の抑制 --- 梱包にかかる人件費を半減させた事例があります
- 省人化 --- 人材確保のリスクを低減できます
書籍という壊れやすくサイズが揃った商品を高速で包装する技術的なノウハウが、通販物流の高速かつ均質な梱包を支える基盤となっています。
以下では、代表的な自動梱包ラインを荷姿別に紹介します。メール便を中心に大量出荷している現場であれば、まず検討したいのが省スペースかつ高速に処理できるタイプです。

荷姿の見直しが積載効率に効く理由
ここまでは荷役時間の話をしてきましたが、梱包工程はもう一つの義務である積載効率の向上にも直接効いてきます。この論点は、制度解説の文脈ではほとんど語られていません。
積載効率の改善策として一般に挙げられるのは、共同配送、積み合わせ、モーダルシフトといった輸送側の打ち手です。しかしこれらはいずれも取引先や同業他社との調整を伴い、実現までに時間がかかります。
一方で積載効率は、貨物1個口あたりの容積によっても決まります。荷姿を見直して容積を縮めれば、輸送の手配を一切変えずに1台あたりの積載個数を増やせるわけです。自社の判断だけで完結する、数少ない打ち手だといえるでしょう。
具体的には、次の2方向のアプローチがあります。
- 緩衝材に依存しない梱包へ切り替える --- 箱の中に緩衝材を詰める従来の梱包は、商品を守るために空気も一緒に運んでいる状態です。商品をフィルムで固定する方式に切り替えれば緩衝材が不要になり、箱のサイズそのものを小さくできます
- 荷姿を宅配箱からメール便箱へ転換する --- 商品サイズによっては、宅配箱で送っていたものをメール便規格に収められるケースがあります。1個口あたりの容積が大幅に縮むため、積載効率だけでなく配送単価にも効いてきます
商品サイズが揃っている、あるいは数パターンに標準化できる現場ほど、この効果は大きくなります。開封時の仕上がりを保ちながら容積を縮めたい場合には、糊付け方式による梱包が選択肢になるでしょう。

宅配便サイズの商品で緩衝材の削減を狙う場合は、フィルムで商品を固定する方式が有効です。

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中長期計画への記載例
梱包工程の改善は、中長期計画にハード面の具体策として記載できます。取り組みの段階別に、記載イメージを示します。
まだ計測ができていない段階
荷役等時間の実態把握のため、対象拠点において出荷準備工程の工程別所要時間の計測を開始する。取得したデータをもとにボトルネック工程を特定し、次期計画で改善目標を設定する。
ボトルネックが特定できている段階
対象拠点の出荷準備工程において、梱包工程が全体の所要時間の大半を占めていることを確認した。試験的に自動梱包ラインを導入し、1件あたりの梱包所要時間および出荷締切遵守率への効果を検証する。
本格導入を計画する段階
対象拠点に自動梱包ラインを導入し、1件あたりの梱包所要時間を短縮する。あわせて出荷締切時刻を後ろ倒しし、トラック到着後の待機時間を削減する。
記載にあたってのポイントは3つあります。
- 対象を特定する --- 全社的に効率化を図るという書き方では、計画として評価されにくくなります
- 数値目標を明示する --- 所要時間、締切遵守率、待機時間など測定可能な指標を選んでください
- 荷待ち時間との因果を書く --- 倉庫内の改善がなぜドライバーの待機時間短縮につながるのかを説明します
なお、実際の様式や記載要領については、国土交通省などの公式サイトでご確認ください。
自動梱包ラインの導入事例や効果をまとめた資料は、以下からダウンロードいただけます。自社の現場にどの程度のインパクトがあるのかを検討する材料として活用してみてください。
自社の対応状況セルフチェック
自社が今どの段階にいるかを確認してみてください。チェックが付かない項目が、次に着手すべきテーマになります。
- 自社が特定荷主に該当するかどうかを、定量データで確認している
- 間接輸送分を集計に含めている
- 物流統括管理者に相当する責任者を決めている
- その責任者が他部門の意思決定に介入できる権限を持っている
- 荷待ち時間を拠点別・取引先別に計測している
- 荷役等時間を工程別に分解して把握している
- 出荷準備工程のうち、どの工程がボトルネックかを特定している
- 積載効率を数値で把握し、改善余地を検討している
- 中長期計画に記載できるソフト施策とハード施策を洗い出している
- 改善施策の効果を測定する指標と測定方法を決めている
チェックが5つ未満の場合は、計画作成よりも先に現状の可視化から着手することをおすすめします。
特に「荷役等時間を工程別に分解して把握している」は、多くの現場で未着手のまま残っている項目です。工程別の計測ができていないと、改善施策を打っても効果を示せません。
よくある質問
記事の内容を補足する形で、読者からよく寄せられる疑問をまとめました。自社の状況に近いものから読み進めてみてください。
特定荷主に該当しない企業は何もしなくてよいのでしょうか
特定荷主に該当しない企業にも、物流効率化の努力義務は課されています。
将来的な事業成長により対象となる可能性、取引先からの協力要請、ESG評価への影響などを踏まえると、早期の取り組みが合理的な判断となるでしょう。
CLOは既存役員が兼任してもよいのでしょうか
CLOは経営層から選任されることが想定されており、既存役員の兼任も可能とされています。
ただし肩書きだけの任命では制度の趣旨に反します。物流を経営課題として捉え、実際に権限を行使できる人物を配置することが重要です。
CLOには誰を選任するのが適切ですか
物流部門の責任者をそのまま充てるケースが多いものの、それだけでは権限が不足しがちです。
判断の目安は、発注頻度、納品時間指定、荷姿仕様といった他部門の意思決定に介入できるかという点にあります。営業や調達に対して条件変更を求められる立場でなければ、計画に書いた施策が実行段階で止まってしまいます。
中小規模のEC事業者にも影響はありますか
中小規模の事業者が特定荷主に該当する可能性は低いものの、影響を受けないわけではありません。
配送キャリアの運賃改定、配送リードタイムの長期化、同梱制限の強化などを通じて、事業モデルの見直しが迫られる場面が増えていくと考えられます。
荷主と物流事業者、どちらが荷待ち時間削減の主導権を持つのでしょうか
法制度上、特定荷主は主体的な責任を負う立場に置かれています。
実務上は、両者が計測データを共有し、原因分析と改善策を協議するパートナー関係を築くことが求められます。一方的な押し付けは、かえって改善を遅らせる結果になりがちです。
中長期計画に設備投資をどう書けばよいですか
設備の名称だけを書くのではなく、どの拠点のどの工程を、どの指標で、どれだけ改善するかをセットで記載します。
本記事の「中長期計画への記載例」で段階別のイメージを示していますので、あわせてご覧ください。まだ効果検証が済んでいない段階であれば、試験導入と検証を計画に書く形でも問題ありません。
荷役等時間はどうやって計測すればよいですか
一般的には、受注確定からピッキング、検品、梱包、出荷準備、積み込みまでの工程に分解し、工程ごとの所要時間をサンプリング計測することから始めます。
全数計測を目指すと着手が遅れてしまうため、代表的な荷姿や時間帯に絞った計測から入るのが現実的でしょう。
梱包作業の自動化はどの規模から効果が出ますか
一概にはいえませんが、1日数百件以上の出荷があり、かつ繁忙期の波動が大きい現場では、自動梱包ラインの導入効果が出やすい傾向があります。
商品サイズのバリエーション、必要な梱包品質、作業人員の確保難易度なども含めて総合的に判断するのが望ましい進め方です。
自動梱包ラインの導入検討はどのように進みますか
一般的には、現場調査から始まり、対象商品や荷姿の確認、機種選定と試験、レイアウト設計を経て、設置と立ち上げに進みます。
商品サイズのバリエーションや既存設備との接続条件によって検討期間は変わりますので、まずは現状の出荷件数と荷姿をお知らせいただければ、想定される進め方をご案内できます。
出荷件数がそれほど多くない現場でも効果は出ますか
判断軸は出荷件数だけではありません。繁忙期と通常期の波動の大きさ、荷姿のばらつき、梱包人員の採用難易度の3点を含めて検討します。
出荷件数が中規模でも、波動が大きく人員確保に苦労している現場では投資対効果が出やすい傾向があります。逆に出荷件数が多くても商品サイズが極端にばらついている場合は、まず荷姿の標準化から検討することをおすすめしています。
まとめ|2026年問題は「経営課題」として取り組むフェーズへ
物流の2026年問題は、単なる法令遵守の課題ではなく、事業構造そのものを問い直す経営課題です。
対応の中核は、荷待ち時間・荷役時間の短縮と積載効率の向上にあります。その実現には、現場の可視化、DX、設備投資、組織改革を組み合わせた総合的なアプローチが求められます。
特に倉庫側の梱包・出荷工程は、荷役時間を左右する重要な論点でありながら、議論の俎上に載りにくい領域でした。しかも梱包工程の見直しは、荷役時間の短縮と積載効率の向上という2つの義務に同時に効く、数少ない打ち手でもあります。
EC事業者、製造業、物流代行のいずれの立場でも、自社の工程を棚卸しし、機械化や自動化で解決できる部分を見極めていく姿勢が、この先の競争力を分ける鍵となっていくでしょう。
なお、制度の詳細や手続きは今後も更新される可能性があります。実際の対応を進める際は、国土交通省などの公式サイトで最新情報をご確認ください。
株式会社ダイワハイテックスでは、通販物流の自動梱包ラインを中核に、各現場の商品特性や出荷量に合わせた梱包工程の効率化を支援しています。2026年問題への対応に関するご相談や、自動梱包ラインの導入可否に関するご質問は、下記のお問い合わせ窓口までお寄せください。
【この記事の著者】

ダイワハイテックス編集部
ダイワハイテックス編集部では、物流・倉庫業務、梱包・包装に関する実務情報を発信しています。国内150ライン以上への導入実績と、社内エンジニアによる設計・保守の知見をもとに、現場の作業効率化、省人化、コスト削減につながる情報を分かりやすくお届けします。









